トレス・サポーテス

トレス・サポーテスの概要

トレス・サポーテス（Tres Zapotes）は、メキシコ合衆国のベラクルス州に位置する著名な考古学的遺跡です。この遺跡は、オルメカ文明の終末期に属し、メキシコシティから南東へ約390キロメートル、またラ・ベンタから北西に約160キロメートルの距離にあります。

遺跡は、パパロアパン川とサン・ファン川によって形成された湿地帯にある丘の上にあり、その地域にはおよそ3キロメートルにわたって約50の土のマウンドが存在します。このような地形は、その地が祭祀の中心地だったことを示唆しています。

特にトレス・サポーテスは、オルメカの長期暦が始まった時期の重要な日付である、紀元前32年を示す石碑Cで広く知られています。これは、古代メソアメリカにおける天文学的知識や時間の感覚を示す証拠とされ、その歴史的価値は計り知れません。

発掘調査

1939年と1940年には、アメリカの著名な考古学者であるマシュー・スターリングらによる発掘調査が行われました。これにより、トレス・サポーテスは紀元前800年頃から紀元後の数世代にわたって繁栄していたことが確認されました。出土した土器や土偶は、それぞれの時期における文化の変遷を物語っています。

出土品の分析から、トレス・サポーテスは以下のように4つの時期に分けられています。

1. TZ1期（紀元前800年頃 - 紀元前300年頃）：単色の土器が主に出土しており、この層からはラ・ベンタと同時代の古い住居が確認されています。
2. TZ2期（紀元前300年頃 - 紀元後300年頃）：ここでは多彩な土器が出土し、文化が進化しつつある様子が見られます。
3. TZ3期（300年頃 - 600年頃）：メキシコ中央高原からのテオティワカンの影響を受けた土器や土偶が多く見つかっています。
4. TZ4期（600年頃以降）：この後古典期前期には、ソンカウトラ・コンプレックスと呼ばれる文化の痕跡が現れます。

巨石人頭像

トレス・サポーテスでは、2基の巨石人頭像も確認されています。これらの人頭像は、オルメカ文化における宗教や社会構造についての理解を深める重要な資料となります。人頭像は非常に大きく、形状やデザインからも当時の技術や美意識が読み取れます。

まとめ

トレス・サポーテスは、オルメカ文明の理解において非常に重要な遺跡であり、出土した遺物や巨石人頭像はその文化の複雑さと豊かさを示しています。この遺跡の研究は、メソアメリカ全体の歴史の理解を深めるうえで欠かせないものとなっています。考古学者たちは、さらなる調査を通じてこの場所の神秘を解明し続けることでしょう。

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