トレマドキアン

トレマドキアン（トレマドッグ期）

トレマドキアンは、国際層序委員会によって定義された地質時代の一つで、約4億8540万年前から4億7770万年前にかけての時代を指します。この時代は前期オルドビス紀の初期にあたります。トレマドキアン期は、カンブリア紀の末期からオルドビス紀にかけての重要な変遷を示す時代で、特に生物多様性の変化が見られた時期でもあります。日本語では「トレマドッグ期」とも呼ばれることがあります。

GSSP（国際標準模式層断面）

トレマドキアン期の始まりは、カナダにあるニューファンドランド島のグロス・モーン国立公園内のグリーンポイントセクションで定義されています。この地点では、コノドントの一種であるイアペトグナトゥス・フルクティヴァグスが初めて出現したことが根拠とされています。具体的には、グリーンポイントセクションの部層23区から101.8メートル上に位置し、カウ・ヘッド層群のブルーム・ポイント部層内で確認されています。また、この期間において最初のプランクトン様のフデイシも出現し、同じくグリーンポイントセクションでイアペトグナトゥスの初出現地点から4.8メートル上部で確認されています。

トレマドキアンの終わりはフロイアン期の始まりであり、スウェーデンのヴェステルイェートランド地方に位置するDiabasbrottet採石場において、フデイシテトラグラプトゥス・アプロクシマトゥスによって定義されています。

生物相の変遷

トレマドキアン期には、プランクトン様のフデイシが重要な示準化石として現れました。この時期は、カンブリア紀末の大量絶滅を経て、生物相が大きく変わった時代でもあります。カンブリア紀第十期とトレマドキアン期の境界では、多くの腕足動物やコノドントが絶滅し、三葉虫の種も大幅に減少しました。この期間中に生物多様性は徐々に回復し、オルドビス紀を通じて進化放散が進み、全生物の属数は三倍に膨れ上がりました。この現象は「生物大放散事変」と呼ばれ、藻類の陸上への進出が原因とされています。

トレマドキアン期には、初期の微生物優先型から骨格生物優先型へと移行する新しいタイプの生物礁が形成され始めました。特に中国南部の三峡地域では、中期トレマドキアン階から上部トレマドキアン階にかけて、海綿動物とストロマトライト、微生物、外肛動物などが共生した礁が発見されています。これらは世界最古の礁とされ、これらの地域では今後の進化の基盤となる重要な生態系が形成されたことを示しています。

環境と気候

前期オルドビス紀は一般的に海進期であり、気候は次第に寒冷化していく傾向がありました。この寒冷化は、海洋生態系にも影響を与え、多様な生物が新しい環境に適応する促進要因となったと考えられています。

以上のように、トレマドキアン期は生物多様性の復活と陸上環境の変化が相まって、地球の生態系に重要な影響を与えた時代でした。

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