トレンチャント (潜水艦)

潜水艦トレンチャント (HMS Trenchant, P331)

概要

トレンチャントは、イギリス海軍のT級潜水艦第3グループに属する潜水艦であり、艦名は「鋭い」や「痛烈な」という意味の形容詞から取られています。この艦名を持つ船はイギリス海軍において2代目となり、本艦の船紋章は「青白の波と赤い地に鋭い剣」というデザインでした。

艦歴

建造

トレンチャントは1941年8月25日にイギリスのチャタム工廠で発注され、1942年5月9日に起工、1943年3月24日に進水し、1944年2月26日にアーサー・リチャード・ヘズレット少佐の指揮のもと就役しました。

大西洋での活動

就役後、トレンチャントは第4潜水艦戦隊に配属され、ノア周辺での試験後に整調を行いました。この期間中には、軽巡洋艦「シェフィールド」や駆逐艦「ウェストコット」などと複数の演習を実施しました。

極東への出撃

1944年5月14日、トレンチャントは極東へ派遣されることになり、ジブラルタルを経由して地中海へ入る輸送船団に参加しました。6月2日にはマルタに到着し、その後、スエズ運河を通過してインド洋へ進出しました。7月4日にはコロンボに入港しました。

1回目の哨戒

トリンコマリー沖の演習後、7月25日にはスマトラ島西岸への初回哨戒に出撃しました。沿岸貨物船と護衛艇を発見し、魚雷攻撃を実施しましたが、最初の試みでの命中はありませんでした。その後、砲撃に切り替え両船を沈め、日本人乗員14名を救助しました。また、8月には日本軍を対象とした機雷投下作戦にも参加しました。

2回目からの哨戒

9月に入ると、「トレンチャント」はオーストラリア海軍やオランダ海軍の艦艇との演習を重ねた後、2回目の哨戒に出発しました。この哨戒では特殊作戦を遂行するためのコマンドスを上陸させる作戦なども行い、特に鉄道橋の爆破に成功しました。

その後の活動

その後も「トレンチャント」は5回にわたる哨戒活動を行い、日本軍艦船に対する攻撃や商船の撃沈を繰り返しました。特に、1945年1月に行った艦砲射撃や、魚雷攻撃での成果が際立っています。

戦後

戦争終了後、トレンチャントはイギリス本国に帰還し、予備役として保管されました。1949年には再就役しましたが、近代化改装は受けず、1963年には廃艦となり解体されました。

栄典

トレンチャントは第二次世界大戦中の戦功により、「MALAYA 1944-45」という名誉章を受章しました。艦長ヘズレット少佐はその功績により複数の勲章を授与されています。

参考文献

• - Hutchinson, Robert. Jane's Submarines: War Beneath the Waves from 1776 to the Present Day. ロンドン: ハーパーコリンズ.
• - Kemp, Paul J. The T-Class Submarine: The Classic British Design. Naval Institute Press, 1999.

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