トレヴ

トレヴ：フランス競馬史に名を刻んだ名牝

2010年4月7日生まれのトレヴ(Treve)は、フランスが生んだ稀代の競走馬にして繁殖牝馬です。類まれな才能と強さを見せつけ、2013年のカルティエ賞年度代表馬、最優秀3歳牝馬に選出されるなど、数々の栄光を手にしました。

競走馬としてのキャリアは2012年9月にスタート。当初は高額な評価を得ていたわけではありませんでしたが、潜在能力の高さを秘めていました。デビュー当初は、ティエリ・ジャルネ騎手を背に経験を積みます。2013年、彼女は飛躍の年を迎えます。まず条件戦を制すると、フランスオークスと呼ばれるディアヌ賞でレコードタイムでの優勝を飾ります。この勝利により、彼女の才能が広く知れ渡ることとなりました。

その後、カタール王族の所有へと移籍。主戦騎手は名手ランフランコ・デットーリへと変更されます。そして迎えたヴェルメイユ賞でも勝利。勢いに乗って挑んだ凱旋門賞では、デットーリ騎手の骨折により再びジャルネ騎手が騎乗することとなり、日本の名馬オルフェーヴルに5馬身差をつける圧勝劇を演じました。

2014年には、凱旋門賞連覇という偉業を達成。アレッジド以来36年ぶり、牝馬ではコリーダ以来77年ぶりの快挙でした。この年は、ガネー賞2着、プリンスオブウェールズステークス3着、ヴェルメイユ賞4着と、幾多の苦戦を強いられる中で迎えた凱旋門賞での勝利は、彼女の驚異的な能力を改めて証明するものでした。

2015年シーズンも、G2コリーダ賞を圧勝で飾ると、GIサンクルー大賞も制し、5つ目のGIタイトルを獲得。秋にはヴェルメイユ賞も制覇し、GI勝利数を6つに伸ばします。そして迎えた凱旋門賞3連覇への挑戦は、惜しくも4着に終わりました。このレースを最後に、彼女は現役を引退、繁殖牝馬としての道を歩むことになります。

トレヴの物語は、単なる競走馬の成功譚ではありません。1歳時の評価は2万2000ユーロと低く、当初はあまり注目されていませんでした。クリスティアーヌ・ヘッド厩舎でデビューし、地道な努力を重ねていきます。さらに、凱旋門賞への登録すらされていなかった彼女が、カタール王族への移籍後、追加登録料10万ユーロを支払って出走したというエピソードも、彼女の成功物語に彩りを添えています。

2020年には、合田直弘氏選定の『世界の名牝21世紀BEST10』で6位にランクイン。その実力は、世界的に高く評価されています。その輝かしい戦績と、彼女を取り巻く数々のエピソードは、競馬史に長く語り継がれるに違いありません。彼女の血統背景にも注目が集まり、4代母Trillionと2代母の父Rivermanの産駒にTriptychがいることも知られています。トレヴの競走成績や血統表などの詳細は、netkeiba、JBISサーチ、Racing Postなどのサイトで確認できます。

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