ティエリ・ジャルネ

ティエリ・ジャルネ：フランス競馬史に輝く名騎手

ティエリ・ジャルネ(Thierry Jarnet, 1967年3月24日-)は、フランス競馬界を代表する伝説的な騎手です。1985年、メゾンラフィット競馬場で騎手デビューを果たし、1991年には名門アンドレ・ファーブル厩舎に所属。類まれな才能で頭角を現し、1992年から1995年にかけて4年連続でフランスリーディングジョッキーに輝きました。1994年には自己最多となる158勝を挙げ、その実力を証明しました。

ジャルネ騎手のキャリア最大のハイライトは、なんといっても凱旋門賞4勝でしょう。これは歴代2位タイの記録であり、その偉業はフランス競馬史に永遠に刻まれました。1992年スボーティカ、1994年カーネギー、そして名牝トレヴとのコンビで2013年と2014年と、異なる馬で凱旋門賞を制覇した彼の力量は、まさに卓越していました。

凱旋門賞以外にも、パリ大賞典、サンクルー大賞など数々のG1競走を制覇しました。その勝利馬はスボーティカ、カーネギー、トレヴといった名馬ばかりで、ジャルネ騎手の実力を改めて示しています。また、彼はサンタラリ賞、ヴェルメイユ賞、イスパーン賞など、フランスの主要なレースで数々の栄冠に輝きました。さらに、モーリス・ド・ギース賞、ムーラン・ド・ロンシャン賞、ジャック・ル・マロワ賞、フォレ賞など、G1競走を複数回制覇するなど、その活躍は多岐にわたります。

ジャルネ騎手の騎乗スタイルは、常にフェアで正確性に優れていました。そのため、制裁を受けることは極めて少なく、多くの関係者から尊敬を集めていました。そのジェントルマンシップあふれる人柄も、彼の魅力の一つでした。

後輩騎手であるクリストフ・ルメール騎手も、ジャルネ騎手を「一番のアイドル」と公言しており、彼の騎乗技術と人となりを深く敬愛していたことがわかります。武豊騎手も、ジャルネ騎手について「フランスで騎乗し始めたころの若手ナンバーワンで、それからもずっとトップであり続けた。騎乗技術は卓越していました。本当にジェントルマンで、そんな姿も騎手としてかっこいいな…と、いつも憧れていました」とコメントしています。これは、ジャルネ騎手がいかに多くの騎手から尊敬されていたかを物語る言葉でしょう。

2017年11月29日、ドーヴィル競馬場で騎乗馬の暴走事故により膝を負傷。その後は騎乗を控えるようになり、2018年2月24日、現役引退を発表しました。フランス競馬界のレジェンドの引退は、多くの関係者にとって大きな損失となりましたが、彼の功績は永遠に語り継がれることでしょう。

フランス国内での通算成績は19412戦2304勝、G1競走48勝という輝かしい記録を残し、引退しました。彼の功績は、単なる勝利数以上に、フェアプレーを貫き、後進を育成するなど、競馬界全体に多大な貢献をしたことにあります。ジャルネ騎手の存在は、フランス競馬、ひいては世界競馬の歴史に大きな足跡を残しました。香港では「査爾尼」という名前で知られ、その活躍は国境を越えて称賛されました。彼の活躍は、これからも多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けることでしょう。

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