トーマス・アルメイダ

トーマス・アルメイダ（Thomas Almeida）は、1991年 7月31日にブラジルのサンパウロ州サンパウロで生まれた、同国を代表する総合格闘家です。シュートボクセ・アカデミーとマカコ・ゴールド・チームを拠点に活動し、主にバンタム級でその才能を発揮しました。幼少期から格闘技に親しみ、ブラジリアン柔術で茶帯、ムエタイでは黒帯を取得するなど、打撃・組技の両面で確かな技術を身につけました。この多彩なバックグラウンドが、後のプロキャリアにおけるアグレッシブでエキサイティングなファイトスタイルを形成する基盤となります。

プロ総合格闘家としてのキャリアは2011年に始まりました。ブラジル国内や地域のプロモーションで経験を積み重ね、着実に勝利を積み上げていきます。その中でも特筆すべきは、米国の有力マイナー団体であるLegacy FCでの活躍です。2014年6月20日、 Legacy FCバンタム級の王座決定戦に臨み、カイオ・マチャドとの激しい戦いを制しました。この試合では、強烈な左ボディブローによってKO勝利を収め、見事、 Legacy FCバンタム級の第3代王座を獲得しました。この戴冠により、アルメイダは国際的な舞台への足がかりを確かなものとします。

Legacy FCでの成功が認められ、アルメイダは世界最高峰の総合格闘技プロモーション、UFCとの契約を掴み取ります。UFCのオクタゴンに初めて足を踏み入れたのは、2014年11月8日に開催された「UFC Fight Night: Shogun vs. St. Preux」でした。デビュー戦の相手はティム・ゴーマンで、この試合を3-0の判定で勝利。初陣ながらもそのパフォーマンスが高く評価され、「ファイト・オブ・ザ・ナイト」のボーナスを獲得しました。UFCでのキャリアは幸先の良いスタートを切ったのです。

その後、アルメイダはUFCバンタム級戦線で驚異的な快進撃を開始します。2015年4月25日のUFC 186では、イヴ・ジャブエンを相手にパンチ連打でTKO勝利を飾り、「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」を受賞。続く同年7月11日のUFC 189では、ベテランのブラッド・ピケットに対し、鮮烈な左跳び膝蹴りによるKO勝利を見せ、再び「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」を獲得。この一撃は世界中の格闘技ファンに衝撃を与えました。さらに同年11月7日には、アンソニー・バーチャックからも右ストレートでKO勝利を奪い、3戦連続で「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」を受賞するという離れ業をやってのけます。UFCでの無敗記録を伸ばし続け、その圧倒的な攻撃力とフィニッシュ能力で、バンタム級のホープとして一躍注目を浴びました。2016年3月には、大手スポーツブランドであるリーボックとのスポンサー契約も締結するなど、人気・実力ともに上昇カーブを描いていました。

しかし、プロキャリアにおいて初めての大きな試練が訪れます。2016年5月29日、自身がメインイベントを務めた「UFC Fight Night: Almeida vs. Garbrandt」で、後のバンタム級王者となるコーディ・ガーブラントと激突しました。この注目の一戦で、アルメイダはガーブラントの打撃の前にパウンドによるKO負けを喫し、プロ転向以来初めての黒星を記録しました。この敗北は、彼のキャリアにおいて重要な転換点となります。

初敗北からの再起を目指し、2016年11月19日の「UFC Fight Night: Mousasi vs. Hall 2」ではアルバート・モラレスからパンチ連打でTKO勝利を収め、再び「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」を獲得。力強い復活を印象付けました。しかし、その後はバンタム級のトップ戦線で苦戦を強いられることになります。2017年7月22日のUFC on FOX 25では、当時ランキング4位の強豪ジミー・リベラと対戦し、0-3の判定で敗北。さらに2018年1月20日のUFC 220では、ロブ・フォントの右アッパーによりTKO負けを喫しました。この2連敗により、一時期の勢いは失われ、ランキングも下降線を辿ることとなります。

ロブ・フォント戦以降、アルメイダは約2年9ヶ月という長いブランク期間に入ります。そして、2020年10月18日の「UFC Fight Night: Ortega vs. The Korean Zombie」で待望の復帰戦を行いましたが、ジョナサン・マルティネスに0-3の判定で敗れてしまいました。この結果、トーマス・アルメイダはUFCで3連敗を喫することとなります。

UFCでの厳しい戦いが続いた後、2021年10月1日にUFCとの契約が終了し、プロモーションからリリースされました。UFCキャリア全体を通して、Legacy FCでの王座獲得やUFCでの連続フィニッシュ勝利、計5回のボーナス受賞など、輝かしい瞬間も多々ありましたが、バンタム級トップ層の壁に阻まれ、最終的にはプロモーションを離れることとなりました。そのアグレッシブなスタイルとノックアウト能力は、多くのファンに記憶されています。

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