トーラス PT92

トーラス PT92について

トーラス PT92（ポルトガル語: Taurus PT92）は、ブラジルのトーラス・アームズ社によって製造される自動拳銃であり、イタリアのファブリカ・ダルミ・ピエトロ・ベレッタ社が開発したベレッタ 92のライセンス生産モデルです。本銃は、ブラジル空軍が装備近代化計画の一環として選定した次期制式拳銃のトライアルへ向けて開発されました。

開発の背景

ブラジル国防省は M1911の後継として、より現代的な拳銃を求めていました。トーラス社は、古くから存在したベレッタ社のサンパウロ工場を買収し、92の製造ライセンスを得たことで、トライアルへの参加が可能となりました。トーラス社は、その過程で様々な独自改良を加えて製造を行い、試験結果を受けてトリガーガードを大型化した量産型を完成させます。これにより、トライアルを通過し、ブラジル空軍と陸軍において正式に採用されることとなりました。さらに、一般向けのシビリアンモデルも生産され、アメリカなど海外へも輸出が行われています。

仕様と特徴

PT92は、オープントップスライドやプロップアップ式ショートリコイルの作動方式を採用しています。また、コンベンショナルダブルアクショントリガーを使用しており、ライセンス生産モデルであるため、基本的な仕様は元の92と似ています。しかし、PT92の大きな違いは、初期型92を基にしているため、マニュアルセーフティがフレーム側に配置されている点です。この設計により、ハンマーをコッキングすることなくセーフティの適用が可能で、コック&ロック方式の使用も支持されています。さらに、トリガーガードはダブルハンドホールディングに向けて角形の先端を持つように設計されています。

素材に関しては、マットブラックモデルとポリッシュドステンレスモデルが存在し、見た目や耐久性に違いをもたらしています。

バリエーション

PT92は、いくつかの発展モデルと派生モデルを持っています。

発展モデル

• - PT92 AF: マニュアルセーフティが両利きに対応したモデル。
• - PT92 AF-D: 現行モデルで、装弾数は17発。デコッキング機能付きのセーフティとアクセサリーレールが追加されています。

派生モデル

• - PT100: .40S&W弾仕様。
• - PT917C: 4.3インチのショートバレルモデル。
• - PT57: .32ACP弾を使用する中型モデル。
• - PT58: .380ACP弾を使用し、PT57と同様のストレートブローバック方式を採用。
• - PT59: PT58 HCプラスと同じ機能を持つが、バレルが5.16インチの長さを持っています。

映画やゲームでの登場

PT92は様々な映画やゲームに登場しており、その知名度を高めています。映画「WHO AM I?」ではフー・アム・アイがAFSモデルを使用し、「X-ファイル」や「シューテム・アップ」でもその姿を見ることができます。さらに、ゲーム「マックスペイン3」や「レインボーシックスシージ」でも登場しています。

ブラジルのトーラス・アームズ社が製造するPT92は、その設計と性能において、多くの愛好家や専門家から高く評価されています。現在でも進化を続けており、様々なバリエーションが市場に出回っています。

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