ドライエ・135

ドライエ 135シリーズ：フランスの高級車とその輝かしいレースの歴史

ドライエ社が1935年から1954年にかけて製造したDelahaye 135シリーズは、フランスの高級車市場において、その卓越した性能と洗練されたデザインで名声を博しました。若きエンジニア、ジャン・フランソワによって設計されたこの車は、多様なボディスタイルとパワフルなエンジンで、数々のレースで勝利を収め、モータースポーツ史にその名を刻みました。

ドライエ 135：スポーティな高級車の誕生

アルパイン・ラリーでの活躍を背景に、「クープ・ド・アルプス」の異名を取った135は、1935年にデビュー。同社のトラックから流用された3.2リッターOHV直列6気筒エンジンは、4ベアリングのクランクシャフトを採用し、最大95馬力を発揮しました。さらに、ソレックス3連キャブレターを搭載した高性能版は、最高出力110馬力、最高速度148km/hを達成しました。ロングホイールベース版の138も存在し、こちらは76馬力から90馬力のエンジンを搭載していました。

シャシーは、独立懸架式フロントサスペンションとリジッド式リアサスペンションを組み合わせ、ベンディックス製のケーブル式ブレーキを採用。17インチのスポークホイールと4速MT、あるいはコタル式4速プリセレクタトランスミッションが標準装備として提供されました。ボディ製作は、フィゴニ・エ・ファラシ、アンリ・シャプロンなど、フランスを代表するカロッツェリアが担当しました。3.2リッター版の生産は第二次世界大戦の勃発により1940年に終了。戦後の復活はありませんでした。

ドライエ 135Mと148：排気量拡大とロングホイールベース版

1936年には、排気量を3557ccに拡大した135Mが登場。キャブレターの仕様によって、90馬力、105馬力、115馬力の3種類のバリエーションが用意されました。135Mにもロングホイールベース版の148が存在し、3150mmと3350mmの2種類のホイールベースが用意され、7人乗りモデルもラインナップに含まれていました。さらに、2150ccの4気筒エンジンを搭載した134Nも製造されました。

戦後、134、148、135M、135MSの生産が再開されましたが、その後は175、178、180シリーズへと発展していきました。しかし、135Mだけは、1954年に後継モデルである235が登場するまで生産が続けられました。

ドライエ 168：ルノーとの協力と独自の試み

1938年12月に登場した168は、148Lのシャシーとルノー・ビバ・グランスポーツのボディを組み合わせ、3150mmのホイールベースを採用。これは木製の車輪の使用を考慮したものでした。消防車市場を巡るルノーとの競合を経て、ドライエはルノーからビバ・グランスポーツを大量に購入することになり、コスト削減のため、168には不人気のウィルソン式プリセレクタギアボックスを採用しました。生産台数は30台以下にとどまりましたが、その耐久性と速度は軍隊でも評価され、多くの車両が木炭自動車に改造されました。

ドライエ 135MS：レーシングモデルとしての進化

135のスポーティバージョンとして登場した135MSは、標準で120～145馬力を発揮し、レーシング仕様では160馬力以上を誇りました。2.95mのホイールベースを有する標準モデルに加え、レース仕様では2.7mまで短縮されたモデルも存在しました。1951年には、フィリップ・シャルボノーによる新ボディが架装された135MSも登場しました。レースとラリーで高い人気を誇った135MSは、1954年に新オーナーのオチキスによって生産が終了しました。

ドライエ 135シリーズのレースでの活躍

135シリーズは、その高い性能を活かし、数々のレースで輝かしい成績を残しました。1935年のル・マン24時間レースでは5位に入賞し、1936年のミレ・ミリアでは2位と3位を獲得。135MSは、1937年のラリー・モンテカルロで優勝を果たし、戦後の1949年のル・マン24時間レースでも9位に入賞するなど、その実力を証明しました。135CSは、1937年と1938年のル・マン24時間レースで上位入賞を果たし、1938年には優勝も獲得しています。1939年と1949年のル・マン24時間レースでも上位入賞を果たし、その卓越した性能と信頼性を示しました。ドライエ135シリーズは、フランス車史に残る名車として、その高い性能と美しいデザインで、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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