ドリームステージエンターテインメント

ドリームステージエンターテインメント（DSE）とは

ドリームステージエンターテインメント（Dream Stage Entertainment、以下DSE）は、かつて存在した日本の総合格闘技とプロレスの興行会社です。1990年代末から2000年代初頭にかけて、総合格闘技イベント「PRIDE」シリーズ、「PRIDE武士道」シリーズ、プロレスイベント「ハッスル」シリーズを主催し、日本の格闘技・プロレス界に大きな影響を与えました。

設立から黄金期へ

1999年、それまでPRIDEを主催していたKRS（格闘技レボリューション・スピリッツ）の解散に伴い、PRIDEの運営を引き継ぐためにDSEが設立されました。森下直人氏が代表取締役社長、榊原信行氏が常務取締役に就任し、主要な社員は名古屋に拠点を置く企業の出身者で構成されていました。

1999年4月29日に最初のイベントとなる「PRIDE.5」を開催。その後、DSEは年に数回PRIDEを主催し、桜庭和志という新たなスター選手が登場。2000年からはフジテレビが地上波で全国放送を開始したことで、格闘技人気は急速に拡大しました。さらに、元プロレスラーのアントニオ猪木をエグゼクティブ・プロデューサーに迎え、プロレスラーのPRIDE参戦を実現、プロレスファンも取り込みました。

DSEは、K-1と協力して「INOKI BOM-BA-YE」や「Dynamite!」といったビッグイベントを運営し、プロレスイベント「WRESTLE-1」も開催。しかし、森下社長はPRIDEの二軍化を懸念し、アメリカ進出に意欲を見せていました。

森下社長の死去と榊原新体制

2003年1月8日、森下社長が急逝。榊原氏が常務から社長に昇格し、テレビ制作会社イーストやスカパーJSATからの出資を受け、DSEは新体制で再出発。榊原体制のもと、年1回のグランプリを軸とした路線は格闘技ファンの支持を集め、PRIDEは東京ドームやさいたまスーパーアリーナなどの大会場で興行を連発。チケットが最も売れる格闘技イベントとして名を馳せました。フジテレビ系列のゴールデンタイム放映でも高視聴率を記録し、PRIDEはK-1と人気を二分する格闘技イベントへと成長。

しかし、人気選手ミルコ・クロコップの移籍をめぐり、かつては友好関係にあったFEG（K-1の主催団体）との関係が悪化。日本の格闘技シーンはDSEとFEGに二分され、冷戦状態が続きました。

新ブランド「PRIDE武士道」の旗揚げ

2003年10月、DSEは新ブランド「PRIDE武士道」を旗揚げ。これは外国人選手中心になりがちなPRIDEとは別に、日本人に焦点を当てることを目的としたイベントでした。当初はPRIDE本戦との差別化が明確でなく集客は低迷しましたが、五味隆典の活躍によって軽量級を中心にしたイベントとしての地位を確立し、人気を博しました。大晦日には、FEG・TBS系の「K-1 PREMIUM Dynamite!!」に対抗し、「PRIDE男祭り」を開催。以降、両局が同時間帯に格闘技イベントを放映する事態が2005年まで続きました。

プロレスイベント「ハッスル」の旗揚げ

2004年1月、DSEは小川直也、橋本真也、高田延彦を主要キャストとするプロレスイベント「ハッスル」を旗揚げ。高田総統というキャラクターが登場するなど、ショーアップされたプロレスを展開しましたが、格闘技ファンとプロレスファンの両方から反発を受けました。その後、グラビアアイドルを起用した路線が話題を呼び、狂言師や芸人がプロレスデビューした「ハッスルマニア2005」で人気が爆発しました。

2004年には、映像媒体の製作業務を行う子会社ドリームステージピクチャーズを設立し、映画事業にも参入しました。

フジテレビとの契約解除と転落

2006年6月5日、フジテレビは「不適切な事象」を理由にDSEとの放送契約を解除。これにより、DSEはPRIDEの地上波中継を失いました。原因は週刊誌がDSEと暴力団の関係を報じたこととされていますが、DSEはこれを否定。DSEはフジテレビとの契約解除で信用を失い、銀行からの融資も打ち切られました。

アメリカの総合格闘技団体UFCの人気が高まり、選手のファイトマネーが高騰したため、ミルコ・クロコップら人気選手がPRIDEから流出する動きも加速。DSEはハッスルの独立や地上波放映を模索しましたが、実現には至りませんでした。

興行権移譲と法人解散

2007年3月27日、DSEはPRIDEの興行権をUFCを主催するズッファ社のオーナー、ロレンゾ・フェティータが設立した新会社「PRIDE FC WORLDWIDE」に移管。4月8日の「PRIDE.34」がDSEとしての最後の興行となりました。ハッスルの営業権も別会社に譲渡され、DSEは榊原氏の社長退任、4月17日の臨時株主総会で法人解散を決議。

しかし、PRIDE FC WORLDWIDEは一度も大会を開催することなく、解散。フェティータ側は、DSEや榊原氏が資産評価や身元調査に協力しなかったとして、アメリカで民事提訴しました。

DSEが主催・運営した大会

主催した大会
PRIDEシリーズ
ハッスルシリーズ

運営した大会
INOKI BOM-BA-YE
Dynamite!
* ファンタジーファイトWRESTLE-1

DSEは、その短い歴史の中で、日本の格闘技・プロレス界に大きな足跡を残しました。PRIDEは、その後の総合格闘技人気を牽引し、ハッスルはプロレスの新たな可能性を示しました。DSEの興亡は、日本の格闘技・プロレス史における重要な転換点の一つと言えるでしょう。

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