PRIDE武士道

PRIDE武士道とは

PRIDE武士道は、日本の総合格闘技イベント「PRIDE」の新たなシリーズとして、2003年10月5日に旗揚げされました。運営はドリームステージエンターテインメント（DSE）が行いました。このシリーズは、日本人選手の育成、中軽量級選手の活躍の場を広げること、そしてPRIDE本戦では行えない実験的な試みを行うことを目的としていました。シリーズ名の「武士道」は、日本人選手の奮起を期待する意味が込められており、また、PRIDE統括本部長の高田延彦が代表を務めたプロレス団体「UWFインターナショナル」が海外でテレビ放映された際の番組名「BUSHIDO」に由来します。

誕生の背景とコンセプト

初期の武士道シリーズは、「格闘技のおもちゃ箱」と形容されるほど、様々な試みがなされました。DEEP代表の佐伯繁氏が「自称アシスタント・ディレクター」として協力し、イベント運営だけでなく、選手のマネジメントや企画立案にも貢献しました。日本人対外国人のチーム対抗戦や覆面レスラーの参戦、デビュー戦を兼ねた「武士道挑戦試合」など、斬新な企画が次々と打ち出されました。

試行錯誤と転換

「武士道挑戦試合」では、セルゲイ・ハリトーノフ、エメリヤーエンコ・アレキサンダー、チェ・ムベといった後の重量級スター選手が発掘されました。しかし、急ごしらえのチーム対抗戦はファンに響かず、PRIDE本戦の中堅選手が出場することで、武士道が二軍という印象を与えてしまうという課題も生まれました。さらに、DSEがエースとして期待した桜井"マッハ"速人が旗揚げ大会で欠場し、その後も本来の力を発揮できなかったこと、中軽量級選手の知名度の低さから、ミルコ・クロコップやヴァンダレイ・シウバといったPRIDEのスター選手を起用せざるを得なくなり、PRIDEとの差別化が困難になりました。観客動員も伸び悩み、DSEはシリーズ打ち切りの可能性を示唆するほどでした。

しかし、回を重ねるごとに、中軽量級の日本人選手もファンに認知されるようになりました。特に、第2回大会から参戦した五味隆典は6連続1ラウンド一本勝ちを達成し、武士道のエースとして成長しました。また、美濃輪育久は独特なキャラクターとパフォーマンスで高い人気を誇りました。K-1が総合格闘技に進出したこともあり、DSEは2005年5月22日の「其の七」から、武士道を中軽量級に特化した大会としてリニューアルしました。修斗、DEEP、UFC、ZSTといった他団体の強豪選手を積極的に参戦させ、PRIDE本戦との差別化に成功しました。同年9月25日には初のトーナメントを開催し、独自の魅力を発信するようになりました。

終焉とその後

武士道シリーズは2006年11月5日の「其の十三」を最後に一旦休止となりました。五味隆典の王座獲得など一定の成果を上げたこと、2007年のGPがライト級で開催されるための発展的解消という側面もありましたが、地上波放送の終了や海外進出が困難になったことも理由として考えられます。

ルール

武士道のルールは基本的にPRIDEに準じています。ラウンド制は、1ラウンド10分、2ラウンド5分の2ラウンド制で、武士道挑戦試合は5分2ラウンドです。階級制は、ウェルター級が83kg未満、ライト級が73kg未満と定められていました。この73kgというライト級の区分は、他の格闘技団体と異なり、議論を呼ぶこともありました。DSEは、PRIDEの10kgごとの階級区分が世界標準になるという考えを示していました。

大会一覧と名勝負

以下は、PRIDE武士道で開催された主な大会の一覧です。

2003年
PRIDE 武士道（2003年10月5日、さいたまスーパーアリーナ）

2004年
PRIDE 武士道 -其の弐-（2004年2月15日、横浜アリーナ）
PRIDE 武士道 -其の参-（2004年5月23日、横浜アリーナ）
PRIDE 武士道 -其の四-（2004年7月19日、名古屋レインボーホール）
PRIDE 武士道 -其の伍-（2004年10月14日、大阪城ホール）

2005年
PRIDE 武士道 -其の六-（2005年4月3日、横浜アリーナ）
PRIDE [[武士道 -其の七-]]（2005年5月22日、有明コロシアム）
PRIDE 武士道 -其の八-（2005年7月17日、名古屋レインボーホール）
PRIDE [[武士道 -其の九-]]（2005年9月25日、有明コロシアム）
PRIDE 男祭り 2005 頂-ITADAKI-（2005年12月31日、さいたまスーパーアリーナ）

2006年
PRIDE 武士道 -其の拾-（2006年4月2日、有明コロシアム）
PRIDE [[武士道 -其の十一-]]（2006年6月4日、さいたまスーパーアリーナ）
PRIDE [[武士道 -其の十二-]]（2006年8月26日、名古屋総合体育館レインボーホール）
PRIDE 武士道 -其の十三-（2006年11月5日、横浜アリーナ）

特筆すべき試合

ウェルター級トーナメント決勝戦: ダン・ヘンダーソン vs ムリーロ・ブスタマンチ
ミドル級から転向した強豪同士の対戦。ブスタマンチが序盤から攻勢に出ましたが、ダンが2R終盤に逆転勝利を収めました。
ライト級トーナメント決勝戦: 五味隆典 vs 桜井"マッハ"速人
五味が桜井を圧倒し、日本人初のPRIDE王者となりました。桜井は試合前に膝を負傷していたことが後に判明しました。


PRIDE武士道は、数々の名勝負を生み出し、中軽量級の選手にスポットライトを当てた重要なシリーズでした。その独自のコンセプトとドラマは、多くの格闘技ファンに記憶されています。

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