ナショナル・プロヴィンシャル・チャンピオンシップ

ナショナル・プロヴィンシャル・チャンピオンシップ（NPC）

ナショナル・プロヴィンシャル・チャンピオンシップ（National Provincial Championship、略称: NPC）は、ニュージーランドにおけるラグビーユニオンの最高峰に位置する国内リーグです。現在では主要スポンサーの名を冠し、「Bunnings NPC（バニングスNPC）」として広く知られています。日本国内では「ニュージーランドNPC」や「ニュージーランド州代表選手権」といった名称で言及されることもあります。

ニュージーランドラグビーにおける位置づけ

この大会は、ニュージーランドラグビーのピラミッドにおいて、頂点であるナショナルチーム「オールブラックス」、そして国際的なクラブ対抗戦であるスーパーラグビーに次ぐ、第3のカテゴリーに位置づけられています。NPCは各州のラグビーユニオンによって編成された代表チームが参加し、国内のラグビー王者の称号をかけて競い合います。特に若い選手にとっては、自らの才能を示す絶好の機会であり、NPCでの活躍が一つ上のカテゴリーであるスーパーラグビーへの選抜やプロ契約に繋がる重要なステップアップの場となっています。そのため、比較的に若い才能が多く集まるリーグとしての側面も持っています。

歴史と大会形式の変遷

NPCの歴史は古く、第1回大会は1976年に開催されました。これ以前から続く、州代表チーム間の伝統的な対戦である「ランファーリー・シールド」を賭けた試合が、NPCの公式戦として組み込まれることもあります。

大会の形式や参加チーム数は時代の変化と共に変遷を遂げてきました。創設当初の1976年には、国内の全28チーム（当時）が参加し、ディビジョン分けが行われていました。その後、プロ化の波や国内リーグ再編に伴い、形式が変化します。

特に大きな転換点となったのは2006年です。この年、国内の26地区を対象とした再編が行われ、プロ契約選手を中心とした14チームがNPCを構成し、それまで下位ディビジョンに所属していたチームは、アマチュアクラブチームによる大会「ハートランド・チャンピオンシップ」として分離独立しました。この再編以降も、NPCは何度か大会形式を変更しています。

ディビジョン構成の変遷

NPCでは、創設以来、様々なディビジョン構成が採用されてきました。

1976年 - 1984年: 2部制が敷かれ、Division1（1部）とDivision2（2部）に分かれましたが、Division2は地理的に北島と南島に分割されて運営されました。
1985年 - 2005年: 3部制となり、Division1、Division2、Division3が設けられました。この期間中、特に1992年から1994年にかけては、Division1の上位4チームに、翌年のスーパーラグビーの前身であるスーパー10への出場権が与えられ、NPCの重要性が一層高まりました。
2006年 - 2010年: 先述の再編により、14チームによるディビジョン分けのない総当たり戦形式が採用されました。
2011年 - 2021年: 再び2部制に戻り、Premiership（プレミアシップ、1部）とChampionship（チャンピオンシップ、2部）に分かれ、それぞれ7チームが所属しました。
2022年 - 現在: 2部制が廃止され、再び14チーム全てが参加する総当たり戦形式となっています。

スポンサーシップと大会名称

2006年以降、NPCは主要スポンサーの名前を大会名に冠しています。これにより、大会の知名度向上や運営資金の確保が図られてきました。

2006年 - 2009年: エア・ニュージーランド・カップ（Air New Zealand Cup）- 航空会社
2010年 - 2015年: ITMカップ（ITM Cup）- 建設資材小売・卸売業
2016年 - 2020年: マイター10カップ（Mitre 10 Cup）- 小売業（ホームセンターなど）
* 2021年 - 現在: バニングスNPC（Bunnings NPC）- 小売業（ホームセンターなど）

日本人選手の挑戦

NPCは多くの外国人選手にとってもプレーの機会を提供するリーグであり、日本人選手も過去に数多く挑戦しています。特に坂田好弘氏は、日本人として初めて1969年にカンタベリー州代表としてプレーした先駆者であり、その功績はニュージーランドでも高く評価され、勲章を授与されています。

その後も、大久保直弥、遠藤幸佑（ともにサウスランド）、四宮洋平（ノースランド）、木曽一（ノース・ハーバー）といった選手が2004年頃にプレー。2012年には、後に日本代表で活躍する田中史朗選手と堀江翔太選手がオタゴでチームメイトとしてプレーしました。また、茂野海人選手が2015年にオークランドでプレーしています。近年では、ニュージーランドに長期滞在しながらプレーする三宅駿選手がタスマン（2023年）、カンタベリー（2024年）でプレーするなど、日本人選手が日本の国内リーグオフシーズンとなる夏季にNPCに参加し、短期間プレーすることも珍しくなくなってきています。

NPCは、歴史ある州代表対抗戦の伝統を受け継ぎつつ、常にニュージーランドラグビーの発展を支え、未来のオールブラックスを育成する重要な役割を果たしている大会です。

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