ナスルエルアラブ

ナスルエルアラブ：アメリカンヒーローの栄光と影

ナスルエルアラブは、10億円という巨額のシンジケートによって日本に迎えられたアメリカ合衆国生まれのサラブレッドです。ノーザンダンサーの血を受け継ぐ良血馬として、大きな期待を背負って1989年に日本へ上陸しました。

華麗なる競走馬時代

フランスで3歳シーズンを迎え、早くからその才能を披露します。オカール賞とメゾンラフィット杯を制覇し、フランスダービーことジョッケクルブ賞にも出走。惜しくも5着に終わりましたが、その実力は既に認められていました。その後、活躍の舞台をアメリカに移すと、その才能はさらに開花します。オークツリー招待ハンデキャップとカールトン・F・バーグハンデキャップという2つのG1競走を制覇し、一流馬としての地位を確固たるものとしました。

4歳シーズンもアメリカで活躍を続け、チャールズ・H・ストラブステークスとサンフアンカピストラーノインビテーショナルハンデキャップというG1競走を連勝。アメリカを代表するトップホースとして名を馳せました。その後、アーリントンミリオンステークスに出走したのを最後に、惜しまれつつも競走馬生活に幕を閉じました。

種牡馬としての期待と現実

競走馬引退後、ナスルエルアラブは日本にて種牡馬として第二のキャリアをスタートさせます。再び10億円という巨額のシンジケートが組まれ、その期待の大きさがうかがえます。優駿スタリオンステーションなどを中心に、多くの関係者がその成功を確信していました。特に、アメリカでG1競走を7勝した名牝グッバイヘイローとの配合は、大きな話題を呼びました。これはアメリカを代表する2頭のG1ホース同士の配合であり、将来のスター誕生を予感させるものでした。しかしながら、その配合からは残念ながら期待通りの活躍馬は現れませんでした。

日本競馬への貢献

ナスルエルアラブの産駒は、日本競馬界に幾多の優秀な競走馬を送り出しました。サンライズアトラス（京成杯オータムハンデキャップ）、マツノアマゾン（サラ系3歳優駿(荒尾)）、ロイヤルアラブ（ラ・フランス賞(上山)）、ビワセイハ（ギャラクシーステークス、リバーサイドステークス）などが代表例です。また、繁殖牝馬として活躍したシスターソノは、ロジータの仔であり、レギュラーメンバーの母として、日本の競馬界に多大な貢献をしました。

謎に包まれたその後

種牡馬としての役目を終えたナスルエルアラブのその後については、詳しい情報がありません。輝かしい競走馬時代、そして大きな期待を背負った種牡馬時代を経て、その生涯は謎に包まれたまま終わっています。それでも、ナスルエルアラブが日本競馬界に残した功績は、決して忘れられるものではありません。彼の血を受け継ぐ競走馬たちが、これからも日本の競馬を盛り上げてくれるでしょう。

血統表

(血統表は、ここでは省略させていただきます。競走馬データベース等でご確認ください。)

参考文献

EQUIBASE
netkeiba
JBISサーチ
Racing Post

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