ナナカマド属

ナナカマド属（Sorbus）は、バラ科に属する植物のグループです。世界中の温帯地域に広く分布しており、落葉性の高木または低木として知られています。多くの種が、白、黄、赤色などの美しい果実をつけ、観賞用や商業用として利用されています。

最もよく知られている種は、ヨーロッパから北アジアを原産とするセイヨウナナカマドです。日本にも、ナナカマド、ウラジロナナカマド、タカネナナカマドなどが自生しています。

ナナカマド属には200種近くが含まれていますが、その多様性のために、分類が難しいとされています。伝統的にはナシ亜科に分類されていましたが、現在ではシモツケ亜科に分類すべきとする意見もあります。また、ナナカマド属の多くの種は、ホワイトビームやローワンといった亜属に分類され、これらの亜属を独立した属に格上げしようという議論もなされています。さらに、アポミクシス（無融合生殖）を行う種が多いことも、分類を複雑にする要因となっています。

ナナカマド属の葉はトネリコ属（Ash）の葉に似ているため、英語圏ではMountain Ashという通称で呼ばれることがあります。しかし、ナナカマド属とトネリコ属は近縁ではありません。ナナカマド属には、Service Treeという別名もあり、これは学名のSorbusに由来します。ただし、同じバラ科のザイフリボク属にもService Treeという呼称が用いられています。

利用

ナナカマド属の果実は、ジャムやゼリー、酒の香りづけなどに利用されることがあります。また、イギリスでは魔除けとして用いられることもあります。フィンランドの伝承に基づいた叙事詩カレワラには、ナナカマドの薪で占いをする場面が登場します。

代表的な種

ナナカマド属は、いくつかの亜属に分類されています。

ホワイトビーム亜属：アズキナシ属（Aria）とされる場合もあります。
ローワン亜属
Cormus亜属
Sorbus domestica - True Service Tree
Torminaria亜属
Sorbus torminalis - Wild Service Tree
Chamaemespilus亜属
Sorbus chamaemespilus - false medlar

これらの亜属間には、多くの交配種が存在します。

関連項目

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