ウラジロナナカマド

ウラジロナナカマド（裏白七竈）

ウラジロナナカマド（学名: Sorbus matsumurana）は、バラ科ナナカマド属に分類される落葉性の低木です。高山植物として知られ、和名の由来は、同じナナカマド属のナナカマドに似ているものの、葉の裏側が白く見えることにあります。

特徴

ウラジロナナカマドは、落葉広葉樹の低木で、樹高は1〜3メートルほどに成長します。根元から多数の細い幹を出し、株立ち状に半球形の樹形を形成し、群生することが多いのが特徴です。枝は帯紫色を帯び、若枝には毛が見られません。葉状の托葉が花期にも残ることがあります。

葉は互生し、長さ10〜20cmの奇数羽状複葉です。葉軸は通常無毛です。小葉は9〜13個つき、長楕円形で、長さ2〜6cm、幅1〜2cmです。先端は丸みを帯びた鈍頭または鋭頭で、基部は頂小葉が切形から鈍形、側小葉が円形となります。葉縁の上半分には鋸歯がありますが、下部は全縁です。葉の両面は無毛で光沢がなく、裏面は粉白色をしています。秋には橙色から赤色に紅葉しますが、色の変異も多く、黄色くなる個体も見られます。

花期は6〜8月で、枝先に複散房花序を直立させ、白色の小さな花を多数つけます。萼は広い杯状で、萼裂片の長さは1〜2mmです。花弁は長さ5〜6mm、幅4〜5mmで、広倒卵形からほぼ円形で平開し、5枚あります。雄蕊は15〜20個、花柱は5個あり、子房は中部以下で合着します。

果期は9〜10月で、果実はナシ状果で、長さ8〜13mm、幅7〜10mmの広楕円形になり、赤く熟します。果序は直立します。果実には皮目がなく、通常、頂部に萼裂片が内曲して残ります。種子は長さ4〜5mm、幅2mmの卵状楕円形です。果実は熟しても苦く、種子にはアルカロイドが含まれており有毒です。

分布と生育環境

ウラジロナナカマドは日本固有種で、北海道、本州の中部地方以北に分布しており、亜高山帯から高山帯の低木林や林縁に生育します。ナナカマドがブナやミズナラなどの森林地帯に生えるのに対し、本種は森林限界を超えた高山に生えるため、日本アルプスや大雪山などの紅葉でよく見られる樹種となっています。

紅葉

ウラジロナナカマドは、秋になると鮮やかに紅葉することで知られています。特に高山帯では、その美しい紅葉が登山者や自然愛好家を魅了します。葉の色の変化には個体差があり、橙色から赤色、時には黄色になることもあります。

注意点

ウラジロナナカマドの種子にはアルカロイドが含まれており、有毒であるため、誤って口にしないように注意が必要です。

参考文献

林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1989)平凡社
茂木透、石井英美他『樹に咲く花（離弁花1） 山渓ハンディ図鑑3』(2000)山と溪谷社
豊国秀夫『日本の高山植物 山溪カラー名鑑』(1988)山と溪谷社

関連項目

タカネナナカマド
ナナカマド
* 高山植物

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