ナハニ国立公園

ナハニ国立公園：カナダの秘境

ナハニ国立公園は、カナダ・ノースウエスト準州に位置する広大な国立公園です。イエローナイフから西へ約500キロメートルに位置し、手つかずの自然が色濃く残る地域として知られています。公園内には、標高2,972メートルのマッキンジー山をはじめとする山々が連なり、サウスナハニ川が公園の中心部を流れ、壮大な景観を作り出しています。

サウスナハニ川と峡谷

サウスナハニ川は、この公園の生命線とも言える存在です。その流れは、数々の峡谷を形成しており、特に第1から第4と名付けられた峡谷は、息をのむほどの絶景として知られています。川の流れは時に激しく、時に穏やかに、公園内の多様な地形を作り上げています。

ヴァージニア・フォールズ：圧巻の滝

ナハニ国立公園のハイライトの一つが、ヴァージニア・フォールズです。落差90メートルもの高さから水が滝壺へと流れ落ちる様子は、まさに圧巻です。この落差は、ナイアガラの滝の約2倍にも相当します。滝の中心部には、カヌー選手であり著述家、映画監督でもあったビル・メイソンにちなんで名付けられた「メイソンズ・ロック」と呼ばれる岩があります。また、この滝の周辺は、希少なランの生息地としても知られています。

現在、この滝の名称を、カナダの首相を務めたピエール・トルドーにちなんだものへと改名する提案もされています。滝以外にも、公園内には多くの急流が点在しており、水が織りなす景観を楽しむことができます。

多様な動植物相

公園内には、硫黄分を含んだ温泉、ツンドラ、山塊、トウヒ属やヤマナラシで構成される森林など、多様な環境が存在します。これらの環境は、多くの鳥類、魚類、そしてオオカミ、ハイイログマ、カリブー、ドールビッグホーン、シロイワヤギなどの哺乳類にとって重要な生息地となっています。ラビットケトル・ホットスプリングという温泉地には、1万年前に形成された高さ30メートル、幅60メートルの石灰華でできた巨大なトゥファが見られます。これはカナダ国内でも最大級の規模です。ナハニ国立公園は、カナダのエコゾーンに指定されている３つの地区、西部のタイガ山系、東部のタイガ平原、そして南部の北方山系を含んでいます。

歴史と文化

フォート・シンプソンのビジターセンターでは、この地域の歴史、文化、地理について学ぶことができます。ナハニ国立公園は、1978年にユネスコの世界遺産として最初に登録された自然遺産の一つです。

公園の拡大とアクセス

1972年、ピエール・トルドー首相によって、4,766平方キロメートルが国立公園として設定されました。2003年には、ノースウエスト準州のデネ族とカナダ政府の間で協定が締結され、保護地域は23,000平方キロメートルに拡大されました。さらに、2007年にはスティーヴン・ハーパー首相が、5,400平方キロメートルを追加し、国立公園の面積は33,000平方キロメートルにまで拡大しました。これにより、ナハニ国立公園はカナダで3番目に広い国立公園となりました。

現在、ナハニ国立公園への交通手段は水上飛行機かヘリコプターに限られています。毎年800人から900人がこの公園を訪れており、その手つかずの自然を満喫しています。

世界遺産としての価値

ナハニ国立公園は、その傑出した自然美と地球の歴史を示す重要な地形学的特徴が評価され、ユネスコの世界遺産に登録されています。登録基準である、

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地質学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

これらの条件を満たし、世界的に貴重な自然遺産として保護されています。

脚注

外部リンク

Parks Canada
South Nahanni River
Canadian Parks and Wilderness Society - Nahanni campaign
UN Protected Areas and World Heritage, Nahanni National Park Reserve

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