ペロポネソス

ペロポネソス半島は、ギリシャ本土の最南端に位置し、その大部分を占める地域です。この半島は、歴史的、文化的、地理的に重要な意味を持つ場所であり、古代ギリシャ文明の重要な舞台の一つでした。現代では、ギリシャ共和国の広域自治体であるペリフェリア（地方）の一つとして、独自の発展を遂げています。

地理

ペロポネソス半島は、バルカン半島の最南端に位置し、複雑な地形と美しい自然景観が特徴です。半島西北部のアハイア県とイリア県は西ギリシャ地方に属し、半島東端のトロイジナ周辺はアッティキ地方に属しています。主要な都市としては、南西部のカラマタ、東北部のコリントス、中部のトリポリなどが挙げられます。カラマタはメッシニアコス湾に面した港湾都市であり、ペロポネソス半島ではパトラに次ぐ第二の都市です。コリントスは、コリントス運河の近くに位置し、交通の要衝として栄えてきました。トリポリは、ペロポネソス地方の首府であり、内陸部に位置しています。

歴史

ペロポネソス地方は、近代ギリシャの独立以来、ギリシャ領土の一部として歴史を刻んできました。1987年の地方行政改革により、従来の「地理的な地方」に代わる行政区画として13の「ペリフェリア」（地方）が設置され、ペロポネソス地方もその一つとして設立されました。2010年の地方行政改革（カリクラティス改革）によって、ペリフェリアの権限が拡充され、知事が公選制となるなど、広域自治体としての役割が強化されました。

行政区画

ペロポネソス地方は、西ギリシャ地方、イオニア諸島地方とともに、ペロポネソス・西ギリシャ・イオニア諸島管区に属しています。この地方は、以下の5つの行政区（περιφερειακές ενότητες）から構成されています。これらの地区は、2010年の地方制度改革以前は自治体としての県（ノモス、νομός）でした。

コリンティア県
アルゴリダ県
アルカディア県
ラコニア県
メッシニア県

また、ペロポネソス地方には、基礎自治体である市（デモス）が26あります。

交通

ペロポネソス半島の交通網は、コリントス地峡に集中しています。半島内の幹線道路は、コリントスから半島中部のトリポリを経由して南西部のカラマタ方面に至る路線と、コリントスから北西部のパトラ・西海岸のピルゴスをまわりカラマタ方面に出る路線とで構成されています。主要な道路としては、アテネとパトラを結ぶ高速道路A8号線や、コリントスからペロポネソス半島を縦断してカラマタに至る高速道路A7号線などが挙げられます。また、リオにはコリンティアコス湾対岸との間にリオ・アンディリオ橋が架けられており、ギリシャ西部の南北交通路として重要な役割を果たしています。

鉄道網も整備されており、アテネとパトラを結ぶ路線では、アテネ - キャト間で電化・標準軌の新線が開通し、プロアスティアコス（近郊電車）が運行されています。また、ペロポネソス半島内には狭軌（軌間1,000mm）の路線も存在し、コリントス、アルゴス、トリポリ、カラマタなどの主要都市を結んでいます。

空路では、カラマタ市内にあるカラマタ国際空港が利用できます。

港湾・水上交通路

ペロポネソス半島には、多くの港湾が存在します。主要な港湾としては、コリントス港、カラマタ港、ギティオ港、ネアポリ港、モネンヴァシア港、ナフプリオ港、ポルトヘリ港、エルミオニ港などが挙げられます。これらの港湾は、旅客輸送や貨物輸送において重要な役割を果たしています。また、コリントス運河は、イオニア海とエーゲ海を結ぶ重要な水路であり、航行時間の短縮に貢献しています。

文化・観光

ペロポネソス半島には、ユネスコの世界遺産に登録されている場所が数多く存在します。その代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿
アスクレピオスの聖地エピダウロス
ミストラス
* ミケーネとティリンスの古代遺跡群

これらの遺跡は、古代ギリシャの歴史と文化を伝える貴重な遺産であり、多くの観光客を魅了しています。また、半島内には美しい海岸線や山岳地帯が広がり、自然を満喫できる場所も多くあります。歴史、文化、自然、それぞれの魅力が混ざり合い、ペロポネソス半島は観光地としても人気の高い地域です。

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