ナンジャモンジャ

ナンジャモンジャ：謎めいた植物名の由来と各地の事例

「ナンジャモンジャ」という聞き慣れない言葉は、地方で目にする珍しい樹木を指す、愛称のようなものです。特定の植物の学名や標準和名ではなく、地域住民が親しみを込めて、あるいは畏敬の念を込めてつけた呼び名なのです。

最も多く「ナンジャモンジャ」と呼ばれるのはヒトツバタゴですが、クスノキ、ニレ、イヌザクラ、ボダイジュなど、様々な樹種がその名で呼ばれることがあります。 この呼び名の由来は諸説あり、いまだに謎に包まれています。

語源に関する諸説

民俗学的な見解では、古くから占いや神事に使われていた植物であり、その神聖さから、本来の名前を直接呼ぶことを避けていたのではないかという説があります。 また、その地域では珍しい外来種のような、見慣れない種類の樹木に対して、戸惑いから「ナンジャモンジャ（何だこれは）」と名付けられたという説もあります。

ヒトツバタゴの場合、花弁が4枚に見えることから「何だこれは」が転じて「ナンジャモンジャ」になったという説も存在します。 さらに、水戸黄門が神木の前を通りかかり「この木はなんじゃ」と尋ねたところ、地元の人が聞き取れず「なんじゃもんじゃ」と返答し、それが木の名前として広まったという、興味深い逸話も伝えられています。いずれも確証のあるものではないため、真偽は定かではありませんが、これらの説は「ナンジャモンジャ」という呼び名の謎めいた魅力をさらに深めています。

各地の「ナンジャモンジャ」

「ナンジャモンジャ」と呼ばれる樹木は、全国各地の神社や公園、寺院などで見ることができます。それぞれの地域で、人々の生活に深く関わってきた歴史を持ち、大切に保護されている場合も多いです。以下は、その一例です。

千葉県: 天津神明宮（マルバチシャノキ）、神崎神社（クスノキ：国の天然記念物）
東京都: 明治神宮外苑、御徒町公園、深大寺（いずれもヒトツバタゴ）
神奈川県: 長光寺（クロガネモチ：かながわ名木100選）、神武寺（ホルトノキ：かながわ名木100選）、深見神社（ハルニレ：市指定天然記念物）、半井驢庵屋敷跡（ハルニレ：県指定天然記念物、かながわ名木100選）、成就院（ヒトツバタゴ）
長野県: 五郎兵衛用水縁（ハリモミ）、虚空蔵山頂（フジキ）、上田市立塩尻小学校（フジキ）、伊勢二ノ宮神社（フジキ：県天然記念物）
岐阜県: 白山神社（ヒトツバタゴ：国の天然記念物）
愛知県: 知立神社（ヒトツバタゴ）
三重県: ミキモト真珠島（ヒトツバタゴ）
滋賀県: 沙沙貴神社（ヒトツバタゴ）
島根県: 松江城（ヒトツバタゴ）
愛媛県: 東雲神社（ヒトツバタゴ：市指定天然記念物）
福岡県: 古塔塚（タブノキ：県指定天然記念物）
長崎県: 上対馬町鰐浦（ヒトツバタゴ：国の天然記念物、日本最大の自生地）

これらの例からもわかるように、「ナンジャモンジャ」は特定の樹種を指すものではなく、地域に根付いた、愛と謎に満ちた呼び名なのです。それぞれの樹木が持つ歴史や物語を探ることで、「ナンジャモンジャ」という呼び名のもつ奥深さをさらに理解することができるでしょう。 今後も、各地で発見される「ナンジャモンジャ」の事例を通して、その魅力が解き明かされていくことを期待したいです。

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