ボダイジュ

ボダイジュ（菩提樹）

ボダイジュ（学名: Tilia miqueliana）は、アオイ科シナノキ属の落葉高木です。別名としてコバノシナノキとも呼ばれ、中国原産で、中国名は南京椴です。日本では、寺院などに植えられることが多いです。

特徴

ボダイジュは、高さ30メートルにもなる落葉広葉樹の高木です。樹皮は暗灰色から暗茶褐色で、縦に浅く裂けます。若木の樹皮は滑らかで、小枝には密に細毛があります。葉は広卵形で、裏面と葉柄には毛が生えています。

花期は6月頃で、葉の付け根から花序を出し、芳香のある淡黄色の花を下向きに咲かせます。

冬芽は薄茶色の短毛があり、オオバボダイジュよりもやや小さいです。枝先には仮頂芽がつき、側芽よりも大きく、長さ5mmほどの卵球形で芽鱗2枚に包まれます。側芽は枝に互生します。葉痕は円形で、維管束痕が3個つき、葉痕の両脇に托葉痕があります。

分布と伝来

ボダイジュは中国原産で、日本へは12世紀に渡来したとされています。臨済宗の開祖である明菴栄西が中国から持ち帰ったと伝えられており、日本では各地の仏教寺院によく植えられています。

釈迦と菩提樹

釈迦は菩提樹の下で悟りを開いたとされていますが、釈迦が悟りを開いた菩提樹は、ボダイジュではなくクワ科のインドボダイジュ（Ficus religiosa）という別の種です。中国では熱帯産のインドボダイジュの生育には適さないため、葉の形が似ているシナノキ科のボダイジュを菩提樹としたと言われています。

文化的な背景

フランツ・シューベルトの歌曲集『冬の旅』第5曲「菩提樹（"Der Lindenbaum"）」に歌われる菩提樹は、ボダイジュではなく近縁のセイヨウシナノキです。

近縁種

ボダイジュには、以下のような近縁種があります。

アメリカボダイジュ (T. americana L.): 別名アメリカジナ。アメリカ中西部原産。
オオバボダイジュ (T. maximowicziana Shiras.): 別名アオジナ。北海道、本州中部以北に分布。
ナツボダイジュ (T. platyphyllos Scop.): 別名、ヨウシュボダイジュ、セイヨウボダイジュ。
フユボダイジュ (T. cordata Mill.): ヨーロッパからコーカサスに分布。
マンシュウボダイジュ (T. mandshurica Rupr et Maxim.): 別名トウホクジナ、マンショウジナ。中国東北部に分布。
ツクシボダイジュ (T. mandshurica Rupr et Maxim. var. rufovillosa (Hatus.) Kitam.): 九州の大分県に限って分布。
セイヨウシナノキ (Tilia ×europaea syn. T. ×vulgaris = T. cordata × T. platyphyllos*): ナツボダイジュとフユボダイジュの交配種。

ボダイジュは、その美しい姿と歴史的な背景から、人々に親しまれている樹木です。

もう一度検索