ナンバンギセル属

ナンバンギセル属（Aeginetia）は、ハマウツボ科に分類される一年生の寄生植物です。主に東アジアの熱帯から温帯地域にかけて分布しており、イネ科、カヤツリグサ科、ショウガ科といった単子葉植物の根に寄生して生育します。

特徴

ナンバンギセル属の植物は、その独特な生態が特徴です。地上に姿を現すのは花柄のみで、茎はごく短く、地中に潜んでいます。葉は鱗片状で数枚存在しますが、目立つものではありません。花柄は上部の鱗片葉の腋から長く伸び、その先端に大きな花を一つ横向きにつけます。

花は筒状で、先端が浅く5つに裂けて唇形になります。萼は鞘状で、下側が深く裂けています。雄蕊は4本あり、その先端は花柱を取り巻くように配置されています。受粉後には、卵球状の蒴果を形成し、その中に大量の細かい種子を蓄えます。

日本の種

日本には、以下のナンバンギセル属の種が確認されています。

ナンバンギセル (Aeginetia indica L.)
ヒメナンバンギセル (Aeginetia indica L. var. sekimotoana (Makino) Makino)
オオナンバンギセル (Aeginetia sinensis G.Beck)
シロバナオオナンバンギセル (Aeginetia sinensis G.Beck f. albiflora K.Asano)

これらの種は、花の色や大きさ、形態などに微妙な差異が見られます。ナンバンギセルは比較的よく見られる種で、ヒメナンバンギセルはナンバンギセルの変種とされています。オオナンバンギセルは、ナンバンギセルよりも全体的に大きく、シロバナオオナンバンギセルはオオナンバンギセルの白花品種です。

生態

ナンバンギセル属の植物は、光合成を行わず、宿主植物から栄養を摂取して生きています。そのため、生育場所は宿主となる植物が生育している場所に限られます。種子は非常に小さく、発芽には特定の条件が必要であると考えられています。詳しい生活環については、まだ解明されていない部分も多く、今後の研究が期待されます。

観賞

ナンバンギセル属の植物は、その独特な姿と美しい花から、園芸植物としても楽しまれています。栽培は比較的難しいとされていますが、適切な環境を整えることで、開花を楽しむことができます。特に、茶花として利用されることもあります。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類』（1981年）平凡社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

もう一度検索