ナヴィガトーリ級駆逐艦

ナヴィガトーリ級駆逐艦の概要

ナヴィガトーリ級駆逐艦（Cacciatorpediniere classe "Navigatori"）は、イタリア海軍が運用した駆逐艦の一群で、各艦の名前は歴史的な航海者に由来しています。初めは「偵察艦」として設計されましたが、1938年の艦種変更で再び駆逐艦としての運用が始まりました。

背景と建造の経緯

20世紀初頭のイタリア海軍は、地中海地域での戦略的行動を重視し、高速かつ軽快な艦艇の建造を進めていました。その中で、軽装甲で高速な偵察艦が整備されることとなり、これらは軽巡洋艦と駆逐艦の中間的存在として位置づけられました。1926年にフランス海軍が新たに大型駆逐艦であるシャカル級を導入し、これに対抗する形で、イタリア海軍も偵察艦を基にした大型駆逐艦の開発を決定しました。これがナヴィガトーリ級の起源でした。

船体と設計

ナヴィガトーリ級の船体デザインは偵察艦を基にしたもので、船首楼型の形状が特徴です。外板には亜鉛めっきされた高張力鋼が使用され、船体内には19枚の隔壁が設けられています。しかし、船殻の軽量化により、竣工後から復原性に問題が生じました。このため、艦橋の構造変更や煙突の低減などが行われ、1939年から1940年には船体幅の広がりや艦首の形状変更が実施されました。これらは、航行性能を改善するための重要な手段でしたが、排水量の増加と速力の低下も招いてしまいました。

推進機関

ナヴィガトーリ級は、カルロ・ミラベロ級偵察艦からの技術を引き継ぎ、4缶2軸推進方式を採用しています。主なボイラーはオデロ式で、蒸気タービンにはパーソンズ式のオール・ギヤード・タービンが用いられています。艦艇の公試では非常に高い速度が記録される一方で、改修を通じて速力は徐々に27〜28ノットにまで低下しました。

武装

艦砲には、新型の50口径12.0cm連装砲（Mod.1926）が搭載され、これにより射程と砲弾重量が向上しました。対空武装としても、初期には39口径40mm単装機銃や76口径13.2mm連装機銃が備えられ、その後の改修によってこれらが強化されました。また、魚雷発射管や爆雷投下装置も装備され、水雷戦にも対応できるよう設計されています。

同型艦と運用

ナヴィガトーリ級は、数隻の同型艦を有し、それぞれが様々な任務に従事しました。艦自体は1940年代を通じて地中海での多様な作戦に参加し、その存在感を示しました。おおむね成功した戦力ではありましたが、デザインや技術の進歩に伴い、艦の効率性や運用方法は継続的に見直されていきました。

結論

ナヴィガトーリ級駆逐艦は、イタリア海軍における重要な艦級であり、速度と武装の両面で新たな可能性を開いた艦艇の一つと言えます。歴史的背景と技術革新を反映したこの艦級は、20世紀前半の海軍戦略において重きを成しました。

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