ナーランダ僧院

ナーランダ僧院：古代インド仏教の学問の中心

ナーランダ僧院は、古代インドのビハール州に位置し、仏教研究における重要な学問所でした。その歴史は427年から1197年まで続き、世界初の全寮制大学の一つとして、また古代世界における最も偉大な学問の中心地の一つとして知られています。

歴史

ナーランダ僧院は、グプタ朝時代に設立され、仏教徒だけでなく非仏教徒を含む多くのインド人やジャワ人の支援を受けました。約750年にわたり、大乗仏教の著名な学者たちが教鞭を執り、ヨーガカラやサルヴァスチバーダといった仏教の主要な宗派や哲学、ヒンドゥー教のヴェーダ、文法、医学、論理学、数学などが教えられていました。

7世紀には、中国からの巡礼者、特に玄奘三蔵が訪れ、657冊ものサンスクリット語の仏典を持ち帰りました。また、義浄も400冊の仏典を持ち帰り、これらの経典は東アジアの仏教に大きな影響を与えました。12世紀末、ムハンマド・バフティヤール・ハルジーの軍隊によって略奪・破壊されましたが、その後一部が修復され、1400年頃まで存続しました。今日では、その遺跡が残り、2016年にユネスコの世界遺産に登録されています。

復興

2010年、インド政府はナーランダ大学の復興を国家プロジェクトとして掲げ、2014年9月1日に800年の時を経て授業を再開しました。世界40ヶ国からの申請者の中から選ばれた15人の学生が新学期をスタートさせ、2020年までに大学院を設立し、科学、哲学、心理学、社会学科を開設する計画が進められています。

名称の由来

「ナーランダ」という名前は、「蓮のある場所」を意味し、蓮が知恵の象徴であることから、「知恵を与える場所」と解釈されます。玄奘三蔵は『大唐西域記』で「施無厭」という意味を与え、「惜しみなく与える場所」と解釈しました。

ナーランダーに関連した仏教

ナーランダ僧院は、大乗仏教とチベット仏教の発展に深く関わっています。ナーランダでの学究の成果は大乗仏教としてヴェトナム、中国、韓国、日本に伝わり、後期ナーランダ（9-12世紀）の教えと伝統はチベット仏教に影響を与えました。

現在の状況

現在、ナーランダには人は住んでおらず、遺跡が残るのみです。近隣にはバラガオン村があり、ナーランダー全地域は衛星写真で記録されています。ナーランダー博物館には、発掘された写本や遺物が展示されており、その名はビハール州、スリランカ、トロント、フランスの修道院など、様々な場所で使用されています。

世界遺産としての価値

ナーランダ僧院は、その歴史的・文化的な価値が認められ、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

• - (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
• - (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。

ナーランダ僧院は、古代インドにおける仏教研究の重要な中心地であり、その遺産は今日まで、世界中の仏教徒や研究者に影響を与え続けています。

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