ビハール州

ビハール州は、インド北東部に位置する州で、その歴史は古代にまで遡ります。州都はパトナであり、かつてはパータリプトラとして知られていました。

歴史

マガダ国
古代、この地にはマガダ国が栄えました。仏教の開祖であるガウタマ・シッダールタ（ブッダ）が悟りを開いたブッダガヤがあるように、仏教が生まれた地でもあります。紀元前4世紀に成立したマウリヤ朝は、都をパータリプトラ（現在のパトナ）に定め、4世紀に成立したグプタ朝もまた、パータリプトラを都としました。

イスラームの到来
10世紀以降、アフガニスタンに興ったガズナ朝が北インドへの侵入を繰り返し、13世紀初頭にはデリーを都とするデリー・スルターン朝が成立し、この地域でもイスラーム化が進みました。その後、ムガル帝国の支配下に置かれました。

イギリス植民地時代
1764年のブクサールの戦いでムガル帝国に勝利したイギリス東インド会社は、1765年にアラーハーバード条約を締結し、ベンガル地方の行政徴税権を獲得しました。これにより、イギリスの統治権がこの地域にも広がりました。1912年から1936年まではオリッサ州と合併しましたが、後に再び単独の州となりました。

独立後
2000年にはジャールカンド州がビハール州から分離しました。2014年には、ジタン・ラム・マンジーが不可触民出身者として初めて州首相に就任しました。

地理

ビハール州は、インドの北東部に位置し、東は西ベンガル州、西はウッタル・プラデーシュ州、南はジャールカンド州と接しています。また、北部はネパールとの国境に接しています。州の中央部には、ガンガー（ガンジス川）が東西に流れています。

地方行政区分

ビハール州は、以下の行政区分に分かれています。

バーガルプル管区
バーンカー県
バーガルプル県
ダルバンガー管区
ベーグーサラーイ県
ダルバンガー県
マドゥバニー県
サマスティープル県
コーシー管区
マデープラ県
サハルサー県
スパウル県
マガダ管区
アルワル県
アウランガーバード県
ガヤー県
ジャハーナーバード県
ナワーダー県
ムンゲール管区
ジャムイー県
カガリヤー県
ムンゲール県
ラキーサラーイ県
シェークプラー県
パトナ管区
ボージュプル県
バクサル県
カーイムル県
パトナ県
ロータース県
ナーランダ県
プールニヤー管区
アラリヤー県
カティハール県
キシャンガンジ県
プールニヤー県
サラーン管区
ゴーパールガンジ県
サラーン県
シーワーン県
ティルフート管区
東チャンパラン県
ムザッファルプル県
シヴハル県
シーターマリー県
ヴァイシャーリー県
西チャンパラン県

経済

ビハール州のGDPは5兆9401億ルピー（740億ドル）で、インドの州の中で14位です。一人当たりGDPは46,292ルピー（661ドル）で、33位となっています（2019-2020年）。

産業

農業
ビハール州は、インドの州の中で野菜の生産量が第4位、果物の生産量が第8位です。人口の80%が農業に従事しており、これはインドの平均を上回っています。主な農産物は、ライチ、グアバ、マンゴー、パイナップル、ナス、オクラ、カリフラワー、キャベツ、米、小麦、サトウキビ、ヒマワリです。肥沃な土壌と恵まれた気候条件は農業に適していますが、洪水や土壌浸食、干ばつなどの自然災害によって作物が被害を受けることもあります。

住民

2011年の国勢調査によると、ビハール州の総人口は1億4099万452人で、インドで3番目に人口の多い州です。人口密度はインドで最も高く、1平方キロメートルあたり1,106人が居住しています。2020年の男女比は、男性1,000人に対して女性が1,090人でした。また、人口の約58%が25歳未満であり、インドで最も若い州の一つです。2021年の都市化率は20%でした。2020年の成人識字率は68.15%（男性78.5%、女性57.8%）でした。

民族

ビハール州には多様な民族が存在し、インド・アーリア語を話す民族グループがほとんどを占めています。

言語

ヒンディー語が州の公用語であり、人口の25.54%が話します。ウルドゥー語は州内の15地区で第2公用語として定められ、8.42%が話します。しかし、大半の住民はビハール語を話します。主なビハール語には、ボージュプリ語（24.86%）、マイティリ語（12.55%）、マガヒ語（10.87%）があります。マイティリ語はインドの地域言語として認められています。また、ベンガル語やスルジャプリ語を話す小規模なコミュニティも存在します。

宗教

2011年の国勢調査によると、人口の82.7%がヒンドゥー教を、16.9%がイスラム教を信仰しています。キリスト教、仏教、シーク教は少数派です。

文化

ビハール州は歴史的に重要な場所であり、特に仏教関連の史跡が数多く存在します。

主な観光地
ブッダガヤ：ガウタマ・シッダールタが悟りを開いた地。マハーボーディ寺院があります。
ナーランダ僧院：グプタ朝時代に建てられた仏教の学院。玄奘や義浄が訪れたことでも知られています。
ラージギル：マガダ国の都であったラージャグリハの遺跡。城壁や城跡が残っています。
霊鷲山：釈迦が住んだとされる山。
竹林精舎：初めて建立された仏教寺院。
* ガヤー：ヒンドゥー教の聖地の一つ。ヴィシュヌパド寺院があります。

交通

空路
パトナ、ガヤ、ダルバンガーに空港があります。ガヤ空港は国際空港であり、季節便がタイ、ブータン、ミャンマーなどから寄港します。

州間道路
州内の州間道路の総延長は4,006km、国道は5,358kmです。

内水面の航路
ガンジス川は、かつて主要な水上交通網であり、古代には多くの舟運業者が海外との交易に携わっていました。

もう一度検索