ニシホウボウ属

ニシホウボウ属の概要

ニシホウボウ属（学名：Prionotus）は、ホウボウ科に属する魚の一群であり、南北アメリカ大陸の東太平洋および西大西洋に広く分布しています。この属は、1801年にフランスの博物学者ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペードによって初めて定義され、最初のタイプ種は1766年にカール・フォン・リンネによって名付けられたTrigla evolansです。属名の「Prion」は鋸を意味し、「notus」は背中を意味しており、これは背鰭の棘の特徴に由来します。

分類と種の多様性

ニシホウボウ属には、合計で23種が分類されています。では、いくつかの代表的な種を見てみましょう。

• - Prionotus alatus (Goode & Bean, 1883): スピニー・シーロビン。
• - Prionotus albirostris (Jordan & Bollman, 1890): ハナイトホウボウ。
• - Prionotus beanii (Goode, 1896): トゲニシホウボウ。
• - Prionotus carolinus (Linnaeus, 1771): ノーザン・シーロビン。
• - Prionotus ruscarius (Gilbert & Starks, 1904): コモン・シーロビン。

これらの種は、それぞれ独自の特徴を持ち、異なる環境に適応しています。例えば、Prionotus murielaeは2020年にPrionotus ophryasの幼魚であることが確認されました。

生息地と分布

ニシホウボウ属の魚は、アメリカ大陸の西大西洋と東太平洋の熱帯から温帯の海域に生息しています。特に、沿岸部や湾、河口付近の水域が好まれます。また、化石は主にイギリスやアメリカ合衆国の西海岸、特にフロリダ州からニュージャージー州にかけて多数発見されています。

特徴的な形態

この属の魚は、大きくて硬いほぼ正方形の頭部を持ち、視覚的な特徴が目立ちます。口は下向きに位置し、簡単な歯が顎と口蓋にあることが特徴です。背鰭は二基あり、第一背鰭は通常10本の棘から構成されていますが、短い棘のために判別が難しいこともあります。第二背鰭は軟条部分が11から13本です。体は全体的に粗い鱗に覆われており、最も小さい種はP. murielaeで、最大種のP. ruscariusは30.5 cmに達します。

生態と行動

ニシホウボウ属の魚は、特異な音を発することで知られています。音は筋肉が鰾を振動させることで作り出され、カエルの鳴き声に似ています。彼らは夜行性で、昼間はほとんど動かず、夜に遊離軟条を利用して海底を歩き、獲物を探します。

捕食対象は、甲殻類、頭足類、魚類、さらには海藻など多岐にわたります。幼魚は特にカイアシ類にフォーカスして捕食します。ニシホウボウは鋭い棘を持つため、当たり前の捕食者には狙われにくいですが、サメなどの一部捕食者の餌になることがあります。
交尾時には音を発し、晩春から初秋にかけて繁殖行動を行います。体外受精で産卵し、卵は海流によって分散します。孵化するまでに約60時間かかり、誕生した仔魚はわずか2-3mmです。性成熟には数年がかかり、通常8年ほどの寿命ですが、最長で11年生きる例もあります。

このように、ニシホウボウ属は独特な生態系や特徴を持つ興味深い魚たちです。

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