ホウボウ科

ホウボウ科 (Triglidae)の概要

ホウボウ科は、カサゴ目に属する底生魚のグループです。この科に属する魚は、世界中の熱帯から温帯の海域に広がって生息しています。ホウボウ科の魚は、その独特な体形や生態から注目されています。

分類・記載

ホウボウ科は1815年、フランスの博物学者コンスタンティン・サミュエル・ラフィネスクによって設立されました。1883年にはデイビッド・スター・ジョーダンとチャールズ・ヘンリー・ギルバートが、1758年にカール・フォン・リンネによって記載されたキカナガシラをこの科のタイプ種と定めました。また、『Fishes of the World Fifth edition』では、ホウボウ科がカサゴ目のコチ亜目に分類されています。このことから、ホウボウ科はキホウボウ科とともにスズキ目のホウボウ亜目を形成するという見解もあります。

名称の由来

ホウボウ科の学名は、キカナガシラ属に由来しています。また、別の種であるチチュウカイヒメジ（Mullus barbatus）もこの科に関連付けられます。Peter Artediはヒメジ科とホウボウ科を体色が赤く音を発生するため、同じ分類群としていましたが、リンネはそれらの違いに気付き、ホウボウ科を独立したグループとしました。この科に属する魚は、そのオレンジ色の体型と大きな胸びれを開閉させて泳ぐ様子から、英語圏では「Sea Robin」（海のコマドリ）とも呼ばれています。さらに「Gurnard」という名は、捕まえるとカエルのような鳴き声を発することに由来しています。

下位分類

ホウボウ科は3つの亜科、そして9つの属から成り、合計で130種近くが該当します。主な亜科は以下の通りです。

1. Prionotinae Kaup, 1873
- イトヒキホウボウ属 Bellator
- ニシホウボウ属 Prionotus

2. Pterygotriglinae Fowler, 1938
- ミナミソコホウボウ属 Bovitrigla
- ソコホウボウ属 Pterygotrigla

3. Triglinae Rafinesque, 1815
- ホウボウ属 Chelidonichthys
- ハイカナガシラ属 Eutrigla
- カナガシラ属 Lepidotrigla
- キカナガシラ属 Trigla

特徴

ホウボウ科の魚は、その特徴的な姿を持ちます。口は吻部の先端に位置しており、時には一対の突起または棘を備えています。頭部は平らで、通常は棘がありません。また、胸びれは進化的に変化し、前方に突き出た形状をしており、「脚」のように見えます。これらの胸びれは海底を探る触手として発達しています。背鰭は二つ存在し、第一背鰭は7～11本の棘条、第二背鰭は10～23本の軟条から成ります。頭部や体は骨が硬く鎧のようになっていて、尾鰭の条は9～10本です。最小種はLepidotrigla spilopteraで長さは10cmほど、最大種はタブ・ガーナード（Chelidonichthys lucerna）で最大75.1cmに成長します。

ホウボウ科の魚は主に水深200mの範囲で底生生活を送り、多くの種は体長30～40cm程度です。これらの魚は鰾の筋肉を活用して音を生成します。特に胸鰭の発達した3対の「脚」のような器官は、化学受容器としても機能し、水中のアミノ酸を感知することで獲物を探し出すことができるのです。

人との関わり

ホウボウ科の魚はその白身がしっかりとしており、煮崩れしにくい特性からスープやシチューに非常に適しています。特にフランス料理のブイヤベースによく使用されますが、風味や食感については意見が分かれることもあります。また、イギリスの海域では混獲されて廃棄されることが多々ありましたが、2007年からの価格上昇により、人気が高まりました。2007年から2008年の卸売価格は1kgあたり0.25ポンドから4ポンドに上昇し、2011年にはその売上が10倍に達しました。

釣りにおいては、様々な餌やルアーを底に落として狙うことが可能です。サバが特に効果的な餌とされる一方、場所によってはカニや他の魚も適用されます。底付近を狙ったルアーフィッシングでも釣れることが多く、ストライプドバスやヒラメを狙った釣りでは外道として釣れることが珍しくありません。ロブスター漁師が餌として使用することもあります。

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関連項目

• - 魚類
• - 海水魚
• - 底魚

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