ニジェール・デルタ解放運動

ニジェール・デルタ解放運動について

ニジェール・デルタ解放運動（Movement for the Emancipation of the Niger Delta、略称MEND）は、ナイジェリアの南部に位置するニジェール・デルタ地域における独立を目指す反政府の武装組織です。この地域は、かつてマングローブが広がる豊かな自然環境でしたが、1960年代に世界屈指の石油埋蔵量が発見されて以来、各国の企業による開発が進みました。

このような油田開発には、大きな経済的メリットがある一方、地元住民の多くはナイジェリア政府の支援を受けられずに貧困に苦しみ続けています。この状況が、地域住民による反政府勢力の結成を促進する土壌を作り出しました。

背景

ニジェール・デルタ地域は、豊富な天然資源があるにもかかわらず、現地住民の生活は改善されませんでした。石油採掘による環境破壊や、開発利益のほとんどが政府や外資に吸い取られる中、地域住民の不満は増大し、2000年代には反政府勢力が石油業界の外国資本に対しても攻撃の手を広げるようになりました。なかでもMENDは、石油関連施設に対するテロ活動を活発化させ、次第に最大規模の武装組織へと成長していきました。

主な活動

MENDは2006年頃から、小火器を用いて石油関連施設を狙った襲撃を始めました。北海油田やガソリンスタンドなどを破壊し、頻繁に外国人を誘拐する事件を引き起こしています。誘拐の目的は、政府による拘束者の解放と、地域に還元される石油利益の確保です。しかし、実際のところ、拘束者の解放に関しては期待通りの結果は出ず、地域還元の内容も非公開の交渉によって決定されます。

また、MENDは数百人の戦闘員から成ると推測されており、誘拐によって得た身代金により、資金的には恵まれています。2006年には、ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社やその他の企業から70人以上が誘拐され、MENDが直接または間接的に関与していると見なされています。

世界的な影響力

特に2006年に入ってからは、石油生産施設への攻撃をほのめかし、原油先物市場に影響を与える存在として注目を集めるようになりました。10月4日に行われた本格的な攻撃や、翌年の5月に行われたパイプライン輸送路の破壊は、いずれも原油先物価格の高騰を引き起こしました。これにより、MENDは世界の石油市場に対しても影響力を持つ存在として浮上しました。

このように、ニジェール・デルタ解放運動は、地域の独立を掲げながら、石油開発を行う外国資本や政府に対して強い抗議を示し続けている重要な組織であり、その活動は今後もますます注目されることでしょう。

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