ニセカラスザメ

ニセカラスザメ (Etmopterus unicolor)

ニセカラスザメは、カラスザメ科に属するサメの一種で、日本、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカに分布しています。この種は主に深海に生息し、300メートル以上の深度で見られることが多いです。体色は一様な暗灰色から暗褐色であり、その特徴によって他のカラスザメ類と見分けることができます。

分類

ニセカラスザメは、1912年に学術誌『Zoologischer Anzeiger』で、Robert Engelhardtによって「Spinax unicolor」として最初に記載されました。その後、1965年には阿部宗明によって現在のカラスザメ属であるEtmopterusに分類が変更されました。この種は、かつては不規則に並ぶ鈎状の皮歯を持つ種群に分類されていましたが、現在ではクロハラカラスザメを中心としたクレードに位置づけられています。

オーストラリアに分布する「Etmopterus sp. B」、通称ブリスルカラスザメについては暫定的にニセカラスザメと同一視されています。

分布

本種は日本の本州南部やニュージーランド近海で捕獲されています。エトモプテルスcompagnoiとE. sp. Bが同種である場合、ニセカラスザメの分布はナミビア南部やオーストラリア南部にまで広がる可能性があります。特に深度900メートル以深に多く見られ、海底棚や海山上に生息しています。

形態

体形は頑丈な円筒形で、頭部は幅が広く平らです。上顎には28本、下顎には34本の歯があり、上顎の歯はとがった尖頭と小さな尖頭が複数あります。下顎の歯は大きく、三角形の形状をしています。また、鰓裂は5対あり、比較的大きく発達しています。背びれは低く、やや小さな棘を持ち、第二背鰭はその2倍の高さと棘を持っています。

尾鰭は長く、上葉は下葉よりも大きいです。皮歯は細かく、不規則に並んでおり、雌は皮歯が体表にしっかりと結合していますが、雄は脱落しやすい特徴があります。体色は暗灰色から暗褐色で、腹面はやや暗く、背鰭の端は明るい色をしています。最大の個体サイズは雄が64センチメートル、雌が75センチメートルに達することがあります。

生態

ニセカラスザメの主な食料は硬骨魚類（主にハダカイワシ）、次いで頭足類（主にホタルイカ）、そして甲殻類（特にヒオドシエビ）です。また、E. unicolorに内在する寄生虫として知られているLernaeopoda属のカイアシが確認されています。本種は卵胎生で、胎児は母体内で孵化し、卵黄を餌に育ちます。産仔数は9から18ほどで、誕生時のサイズは約17センチメートルです。

性成熟には雄が46センチメートル、雌が50センチメートルに達する必要があります。1989年に駿河湾で行われた調査では、捕獲された個体の約23%が雌雄同体であったことが報告されています。雌雄同体の16個体のうち、15個体は機能的に雌であり、いくつかは妊娠していましたが、もう1個体は機能的に雄であったと記録されています。この現象の原因は不明ですが、何らかの環境要因が影響している可能性があります。

人との関わり

ニセカラスザメは人間に対して無害であり、漁業上の重要性も特に見られません。IUCNは本種の保全状況について情報が不足しているとしています。

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