ニタリクジラ

ニタリクジラについて

ニタリクジラ（似鯨、学名：Balaenoptera brydei）は、ヒゲクジラの一種で、ナガスクジラ科に属しています。この種は特に、カツオクジラやその他の関連種と密接に関連しており、現在、いくつかの亜種あるいは類似種が存在すると考えられています。これらの種は分類上の混乱が多く、一部の研究者はそれらを同じ種とみなしています。

分類

ニタリクジラは、かつてイワシクジラと混同されており、捕鯨の際にはその名で言及されることがありました。日本では、カツオクジラと一緒に見られることが多く、そのために別名が付けられましたが、本来のカツオクジラの和名もまたイワシクジラに関連しています。

他にも、ツノシマクジラが沿岸型のニタリクジラと似ており、これらの混同も見られました。特に、高知県ではホエールウォッチングの対象として扱われているニタリクジラが、実際にはカツオクジラである可能性があるため、注意が必要です。

さらに、メキシコ湾に生息する個体群は2021年に新種として分類され、「ライスクジラ」と名付けられましたが、その生息数は50頭前後とされ、絶滅の危機にあることも報告されています。遺伝子研究からは、イワシクジラが最も近縁であることが明らかになっています。これにより、ニタリクジラの系統がどのように分岐してきたのかが徐々に解明されつつあります。

形態

ニタリクジラは、イワシクジラに近い種ですが、いくつかの外見上の特徴で区別できます。その外形はノーズの上部に隆起した線があることや、ひげ毛が短くて太く、体長は最大で約15.5メートルに達します。第二次世界大戦以降、小笠原諸島周辺での発見から、北太平洋に広く分布することが明らかになりました。これにより、国際捕鯨委員会は1970年にニタリクジラをイワシクジラとは別種と認定しました。

南アフリカ沿岸では、ニタリクジラは沿岸型と遠洋型に分かれて生息しており、形態や生態に多少の差異が認められています。

生態

このクジラの主食は、小魚を中心としたもので、カツオなどの大型回遊魚も含まれます。そのため、ニタリクジラが生息する海域にはこれらの魚が多く存在し、相互の生態系を形成します。水産庁の研究者によれば、ニタリクジラはカツオと良好な共生関係を築いており、これによりカツオは捕食者からの身を守ることができるとされています。漁業の際には、ニタリクジラを探し出すことが重要であり、これがいわゆる「鯨付き」と呼ばれる方法です。あまり活発な行動を見せないニタリクジラですが、ナガスクジラ科の他の種と比較すると、ブリーチングなどの行動が見られることもあります。また、カリブ海では「バブルネット・フィーディング」という独特の採餌行動も確認されています。

分布

ニタリクジラは一般的に暖かい海域に生息し、北緯40度と南緯40度の間の水温20度以上の海に広範に分布していますが、その中でも特定の沿岸域や大陸棚に定住する群れも存在します。具体的には、ニュージーランド、ブラジル、南アフリカ沿岸などが知られています。ニタリクジラは他のクジラ類と比較しても回遊の程度があまり高くないため、特定のゾーンでの定住が観察されています。

人間との関係

ニタリクジラは商業捕鯨の影響を受けているほか、混獲、船との衝突、さらには環境汚染などの脅威にもさらされています。特に、日本では捕獲対象としても扱われており、2019年からの商業捕鯨再開により、年間187頭の捕獲枠が設定されています。この背景には捕鯨業者による不正捕獲や混同があったとされ、多くの議論を巻き起こしています。日本では古くからクジラは神聖視されており、捕鯨禁止の風潮も強いとされています。

ニタリクジラの保存と生態系への影響の理解は、今後の研究と保護活動において重要なテーマであり、私たちの海洋環境を守るためには、さらなる取り組みが求められています。

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