ニック・リマンド

ニック・リマンド：MLS史に輝く鉄壁の守護神

ニック・リマンド（Nick Rimando）は、1979年6月17日生まれ、アメリカ合衆国カリフォルニア州モントクレア出身の元プロサッカー選手です。ポジションはゴールキーパー（GK）。MLS（メジャーリーグサッカー）において、フィールドプレーヤーとして最多出場記録を保持する、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい選手です。

プロキャリアの幕開け

リマンドは、フィリピン系の父親とメキシコ系の母親の間に生まれました。地元の高校を卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）に進学。UCLAのサッカー部では、後にアメリカ代表でもチームメイトとなるカルロス・ボカネグラやジミー・コンラッドらと共にプレーしました。1997年にはNCAA男子ディビジョンIサッカーチャンピオンシップで優勝を経験しています。

MLSでの輝かしい足跡

2000年のMLSスーパードラフトで、マイアミ・フュージョンから3巡目（全体35人目）に指名され、プロのキャリアをスタートさせます。加入後すぐにレギュラーポジションを獲得し、2001年にはサポーターズ・シールドを獲得しました。しかし、2001年シーズン終了後、マイアミ・フュージョンの活動停止に伴い、配属ドラフトでD.C. ユナイテッドに移籍。

D.C. ユナイテッドでは、2シーズンに渡ってレギュラーとして活躍。2004年シーズンはトロイ・パーキンスの加入により一時的にポジションを失いますが、2005年シーズンには再びレギュラーの座を奪い返します。しかし、2006年シーズンは再びパーキンスにポジションを譲る形となりました。

2006年12月11日、チームメイトのフレディー・アドゥと共にレアル・ソルトレイク（RSL）に移籍。その後、一時的にニューヨーク・レッドブルズにトレードされますが、スコット・ガーリックの引退に伴い、すぐにRSLに復帰。2007年シーズンは、チームが低迷する中で孤軍奮闘し、27試合で146セーブを記録する活躍を見せ、チームMVPに選出されました。

2009年のウェスタン・カンファレンス決勝・シカゴ・ファイアー戦では、PK戦において3度のストップを見せ、チームを勝利に導く大きな貢献をしました。MLSカップ決勝でもロサンゼルス・ギャラクシーを下し優勝。自身は大会MVPに輝きました。

2010年シーズンは、無失点14試合と568分間無失点というクラブレコードを達成。しかし、MLS最優秀GKには選ばれませんでした（この年の受賞者はLAギャラクシーのドノヴァン・リケッツ）。2013年3月3日のサンノゼ・アースクエイクス戦では、MLS史上二人目となる100試合無失点を達成しました。

2019年3月、2019年シーズン限りでの現役引退を発表し、長きにわたるプロキャリアに終止符を打ちました。

アメリカ代表としての足跡

1999年4月、ナイジェリアで開催された1999 FIFAワールドユース選手権にアメリカ代表として参加。2002年11月17日、エルサルバドル戦でフル代表デビューを果たします。しかし、その後は2009年に7年ぶりに招集されるまで、代表から遠ざかる時期が続きました。

2010 FIFAワールドカップでは、大会直前のトレーニングに参加しましたが、登録メンバーからは漏れました。代表では、長きにわたりティム・ハワードの控えという立場でしたが、2013 CONCACAFゴールドカップでは第一キーパーとして活躍しました。2014 FIFAワールドカップではメンバー入りを果たしたものの、出場機会はありませんでした。

ニック・リマンドが残したもの

ニック・リマンドは、その卓越したセービング技術と、安定したパフォーマンスで、長年にわたりMLSのトップGKとして君臨し続けました。彼のMLS最多出場記録は、その実績を物語る何よりの証拠でしょう。また、RSLをMLSカップ優勝に導いた2009年の活躍は、語り継がれるべき伝説として、多くのファンの記憶に刻まれています。アメリカサッカー史に名を刻む名GKとして、これからもその功績は称えられ続けるでしょう。

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