ニムラト・カウル

ニムラト・カウル

ニムラト・カウル（Nimrat Kaur）は、1982年3月13日に生まれたインドを代表する女優です。特に映画『めぐり逢わせのお弁当』や、アメリカの人気テレビシリーズ『HOMELAND』での演技により、国内外で広くその名を知られています。確かな演技力で、インディペンデント作品から商業大作、そして海外ドラマまで、多岐にわたる作品で存在感を発揮しています。

生い立ち

インド北西部、ラージャスターン州のピラニで、シク教徒の家庭に生を受けました。父はインド陸軍の将校として国に仕え、妹のルビナはベンガルールを拠点に心理学者として活動しています。幼少期、一家はパティヤーラーへ移り住み、ニムラトは現地のヤダヴィンドラ公立学校で基礎教育を受けました。しかし、1994年に父がカシミール人テロリストによる悲劇的な事件で命を落とすと、一家はノイダへと再び居を移し、ニムラトはデリー公立学校で学びを続けました。その後、高等教育機関であるデリー大学シュリラーム商業校に進学し、商業の学位を取得しています。

キャリア

大学での学びを終えたニムラトは、芸能の世界を志しムンバイへ移り住みます。そこでキャリアの第一歩としてモデル活動を開始しました。やがて舞台の世界へと足を踏み入れ、スニール・シャンバーグやマナーヴ・カウルの演出作品である『Baghdad Wedding』、『All About Women』、『Red Sparrow』などで俳優としての経験を積んでいきます。2004年には、著名な歌手であるクマール・サヌーの楽曲「Tera Mera Pyar」や、シュレヤ・ゴシャルの「Yeh Kya Hua」のミュージックビデオに出演し、その存在感を示しました。また、テレビコマーシャルにも多数出演し、一般への露出を増やしました。

映画俳優としての本格的なキャリアは、2006年のアメリカ映画『One Night with the King』での端役出演から始まります。ボリウッドでのデビューは2012年のアヌラーグ・カシャップ監督作『Peddlers』でした。この作品はカンヌ国際映画祭で上映され、批評家から高い評価を受け、彼女の俳優としての実力を知らしめる機会となりました。特に、人気チョコレートブランド、キャドバリーのテレビ広告に出演したことが、彼女の知名度を飛躍的に向上させるきっかけとなります。

そして、2013年に出演したリテーシュ・バトラ監督作『めぐり逢わせのお弁当』が、彼女のキャリアにおける決定的な転換点となりました。この作品は第68回カンヌ国際映画祭の国際批評家週間で上映されるやいなや、批評的・興行的に世界的な大成功を収めました。ニムラトは、夫との関係に冷たさを感じながら、手違いで届けられたお弁当を通じてイルファーン・カーン演じる見知らぬ男性と交流する主人公イラを繊細に演じ、その演技は国内外の批評家から惜しみない賛辞を受けました。Rediff.comのラジャ・セン氏、バラエティ誌のジャイ・ウェイスバーグ氏、そしてザ・テレグラフ紙のプラティム・D・グプタ氏らが、こぞって彼女の表現力を高く評価しています。

国際的な活躍も目覚ましく、2014年にはアメリカの人気テレビシリーズ『HOMELAND』の第4シーズンに出演し、パキスタン軍統合情報局のエージェントであるタスニーム・クレイシという重要な役を演じました。この役は後に2020年の第8シーズンでも再び演じることになります。同年には、サウラブ・シュクラ監督の映画でラージクマール・ラーオとの共演が発表されるなど、ボリウッドでの活動も継続しました。

2016年には、湾岸戦争時のクウェートからのインド人救出劇を描いた大ヒット作『エアリフト 〜緊急空輸〜』でアクシャイ・クマールと共演。この作品もラジーヴ・マサンド氏をはじめとする批評家から絶賛され、興行的にも記録的な成功を収めました。同年には、同じくアメリカのテレビシリーズ『Wayward Pines』にも出演し、活動の幅を広げています。2017年には、インド陸軍初の女性士官候補生を描いたウェブシリーズ『The Test Case』で主人公シーカー・シャルマ役を演じ、その力強い演技が高く評価されました。そのほか、『Yahaan』(2005年)、『Encounter』(2010年)、『Luv Shuv Tey Chicken Khurana』(2012年)、『El'ayichi』(2015年)といった映画作品や、ウェブシリーズ『Love Shots』(2016年)、テレビシリーズ『ファウンデーション』(2023年)など、多方面で精力的な活動を続けています。

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