ニューグローヴ世界音楽大事典

ニューグローヴ世界音楽大事典

『ニューグローヴ世界音楽大事典』（The New Grove Dictionary of Music and Musicians）は、音楽と音楽家に関する包括的な百科事典であり、西洋音楽研究における重要な情報源です。ドイツ語の『音楽の歴史と現在』と並び、西洋音楽に関する最大の参考文献の一つとして評価されています。

歴史

事典は元々、『音楽と音楽家に関する事典 A Dictionary of Music and Musicians』としてジョージ・グローヴによって編纂され、1878年から1889年にかけて4巻が出版されました。その後、『音楽と音楽家に関するグローヴの事典 Grove's Dictionary of Music and Musicians』と改名され、版を重ねるごとに内容が拡充されていきました。

初版から第5版まで

• - 初版 (1878-1889): ジョージ・グローヴ編纂。4巻構成で、ジョン・メイトランドの付録が追加されました。索引はエドマンド・ウッドハウスが担当しました。
• - 第2版 (1904-1910): メイトランドが編集し、『音楽と音楽家に関するグローヴの事典』として出版。全5巻構成で、「アメリカ人補遺」が追加されました。
• - 第3版 (1927): ヘンリー・コールズ編集。第2版の拡大版として全5巻で刊行されました。
• - 第4版 (1940): コールズ編集。第3版の修正再版で、全5巻構成。「アメリカ人補遺」とコールズ編の「補巻」が追加されました。
• - 第5版 (1954): エリック・ブロム編集。全9巻構成で、大幅な刷新が行われました。多くの記事が現代的に書き改められ、新規記事も追加されました。ブロムの死後、デニス・スティーヴンスが補巻を完成させました。

ニューグローヴの誕生

1980年、事典は『ニューグローヴ世界音楽大事典 The New Grove Dictionary of Music and Musicians』として生まれ変わり、全20巻、記事数22,500、伝記数16,500という大規模なものになりました。スタンリー・セイディが主編集者を務め、ナイジェル・フォーチュンが主要な編者として貢献しました。

2001年には第2版が刊行され、全29巻となりました。この版は『グローヴ・ミュージック・オンライン』としてインターネットで購読できるようになり、セイディが編集、ジョン・タイレルが編集長を務めました。しかし、誤植や事実誤記が多く、批判も寄せられました。

オンライン版

現在、『グローブ音楽事典』は『グローヴ・ミュージック・オンライン』で利用可能です。オンライン版は改訂が重ねられ、新規項目も追加されています。29巻の事典本編に加え、『ニューグローヴオペラ事典』、『ニューグローヴジャズ事典』を含む50,000以上の記事が利用できます。2004年にオックスフォード大学出版局に売却され、現在は『オックスフォード・ミュージック・オンライン』の基礎として機能しています。

内容

2001年版には、29,499本の記事が収録されています。その内訳は、作曲家、演奏家、音楽に関する作家の伝記が20,374本、形式、用語、ジャンルに関する記事が1,465本、地域、国、都市に関する記事が805本など多岐にわたります。

ユーモア

事典には、かつて架空の人物が掲載されていたことがあります。1980年版には、ダグ・ヘンリク・エスルム＝ヘレルプとグリエルモ・バルディーニという実在しない人物の記事が掲載されましたが、後に誤りであることが判明し、削除されました。

参考文献

* Blom, Eric, editor (1954). Grove's Dictionary of Music and Musicians (fifth edition).

まとめ

『ニューグローヴ世界音楽大事典』は、音楽研究における重要な情報源であり、広範な分野をカバーしています。オンライン版の登場により、アクセスも容易になりました。音楽に関わる全ての人にとって、価値ある参考文献と言えるでしょう。

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