ニューミンスター

ニューミンスター：競走馬としての平凡と種牡馬としての成功

1848年から1868年にかけて活躍したイギリスの競走馬、ニューミンスター。その名を歴史に刻んだのは、競走馬としての華々しい活躍というよりは、むしろ種牡馬としての圧倒的な成功によるものです。

輝かしい血統と平凡な競走成績

ニューミンスターの血統は、まさにサラブレッドの理想系と言えるものでした。父はアスコットゴールドカップとドンカスターカップを連覇し、種牡馬としても成功を収めたタッチストン。母は64戦51勝という驚異的な戦績を誇り、ドンカスターカップを4度、アスコットゴールドカップも制した名牝ビーズウイングです。両親だけで、当時最も権威のある長距離レースであるアスコットゴールドカップとドンカスターカップを9回も制覇した計算になります。

しかし、ニューミンスター自身は体質の弱さからか、競走馬としては目覚ましい活躍はできませんでした。記録によれば、10戦中2勝という成績で、他の記録では3勝という説もあるようです。それでも、エプソムダービーよりも重視されていたと言われるセントレジャーステークスを制覇しており、決して低いレベルの競走馬ではなかったと言えるでしょう。

種牡馬として開花した才能

競走馬としてのキャリアを終えたニューミンスターは、種牡馬として新たな道を歩み始めます。同時代にリーディングサイアーを7回も獲得した名種牡馬、ストックウェルが存在したため、ニューミンスターがリーディングサイアーの座に就いたのは1859年と1863年の2度だけでした。しかし、その産駒たちはイギリス競馬史に名を刻む名馬ばかりでした。

主要な産駒

ニューミンスターの産駒の中には、エプソムダービーを制覇し、後に自身も7度もリーディングサイアーの称号を得たハーミット、アスコットゴールドカップを制したサビヌス、ドンカスターカップを制したニューキャッスル、そして再びエプソムダービーを制したムズィードなど、数々の名馬が名を連ねています。さらに、自身もリーディングサイアーとなったアドヴェンチュラー、セントレジャーステークスを制し、2度のリーディングサイアーに輝いたロードクリフデン、1000ギニーを制したネメシスなどもニューミンスターの血を受け継いでいます。東欧に輸出され、キンチェムという名馬の父となったカンバスカンも忘れてはなりません。これらの活躍からも、ニューミンスターがいかに優れた遺伝子を持っていたかが分かります。

まとめ

競走馬としては平凡な成績に終わったニューミンスターですが、その血統と遺伝子の素晴らしさにより、種牡馬として競馬史に大きな足跡を残しました。数々の名馬を輩出し、イギリス競馬の発展に貢献したニューミンスターの物語は、競走馬としての成功だけがすべてではないことを示す、一つの好例と言えるでしょう。その偉大な功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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