ニューメキシコ級戦艦

ニューメキシコ級戦艦

ニューメキシコ級戦艦は、アメリカ海軍が建造した戦艦の艦級であり、ニューメキシコ、ミシシッピ、アイダホの3隻が就役しました。これらの艦は、アメリカ海軍の標準型戦艦として設計され、その後の戦艦の設計に大きな影響を与えました。第一次世界大戦後には大規模な近代化改装を受け、第二次世界大戦では太平洋を中心に活躍しました。

概要

アメリカ海軍は、ニューヨーク級戦艦で超弩級戦艦の運用を開始しましたが、これは前級の改良型でした。その後、集中防御方式を採用したネバダ級戦艦を建造し、ペンシルベニア級戦艦では14インチ三連装砲を4基搭載しました。しかし、イギリス海軍やドイツ帝国海軍が15インチ砲搭載艦を建造し始めたため、アメリカ海軍も対抗する必要に迫られました。

ニューメキシコ級戦艦は、1913年に設計が開始され、当初は16インチ砲の搭載が検討されました。しかし、議会の反対により、14インチ50口径砲を搭載するペンシルベニア級の改良型として設計されました。この砲は、ペンシルベニア級の45口径砲よりも射程と貫通力が向上しており、他国の15インチ砲に対抗できると判断されました。船体設計も改良され、クリッパー型艦首を採用し、凌波性が向上しました。

ニューメキシコは、ターボ・エレクトリック推進を採用しましたが、これは、燃費が良く、後進や回避運動が素早く行えるという利点がありました。

ニューメキシコ級は、アメリカ海軍における「標準型戦艦」の概念の一部であり、長距離射撃、21ノットの速度、ダメージ・コントロールの改善などが盛り込まれていました。

設計

1913年、アメリカ海軍はペンシルベニア級に続く新型戦艦の計画を検討しました。当初は16インチ砲搭載が検討されましたが、建造費が高くなるため、議会は難色を示しました。そのため、14インチ50口径砲を搭載するペンシルベニア級の改良型が採用されることになりました。この砲は、射程と貫通力が向上しており、他国の15インチ砲に対抗できると判断されました。

艦形

ニューメキシコ級の船体形状は、ペンシルベニア級と同じ長船首楼型ですが、クリッパー型艦首を採用することで凌波性を向上させました。また、砲塔が大型化したため、バーベットが拡大されました。第一次世界大戦の戦訓を受け、主砲および副砲の射撃指揮装置が追加され、艦橋が大型化されました。

海軍休日時代には、他のアメリカ戦艦と同様に近代化改装が行われ、籠マストが撤去され、塔型艦橋が設置されました。第二次世界大戦開戦時には、アメリカ戦艦の中で最も良い装備状態であり、戦中も大規模な改装は行われませんでした。

兵装

主砲

ニューメキシコ級の主砲は、新開発のMark 4 14インチ50口径砲で、射程や貫通力が向上しました。発射速度は毎分1.75発でした。砲塔は三連装砲塔4基で、砲身を個別に府仰できるようになりました。

副砲、その他兵装

副砲は、Mark 7 5インチ51口径速射砲が採用されました。対空火器として3インチ50口径高角砲が搭載されました。また、53.3m水中魚雷発射管を2基装備していました。

近代化改装時の兵装変換

近代化改装では、主砲がMark 7 14インチ50口径砲に換装され、散布界の改善が図られました。副砲は12門となり、対空機銃が装備されました。また、水雷兵装は撤去され、カタパルトが搭載されました。

第二次世界大戦時の兵装変換

第二次世界大戦開戦後には、対空兵装が強化され、20mm機銃や40mm機関砲が追加されました。レーダーも搭載され、対空射撃能力が向上しました。

機関

竣工時

ミシシッピとアイダホは蒸気タービン機関を搭載しましたが、ニューメキシコはターボ・エレクトリック推進システムを採用しました。これは、燃費が良く、後進や回避運動が素早く行えるという利点がありました。

近代化改装時

近代化改装では、3隻ともウェッチングハウス式減速蒸気タービンに換装され、ボイラーも新型に交換されました。これにより、速力と航続距離が向上しました。

防御

竣工時

ニューメキシコ級の装甲配置や装甲厚は、ネバダ級やペンシルベニア級から大きな変更はありませんでした。水線部装甲は343mmで、水平甲板の装甲は複層構造でした。

近代化改装時

近代化改装では、遠距離砲戦に対応するため、甲板防御と水雷防御が強化されました。

艦歴

ニューメキシコ級は、第二次世界大戦では太平洋を中心に活躍しました。ミシシッピは、レイテ沖海戦のスリガオ海峡夜戦に参加し、主力艦同士の最後の直接対決を経験しました。戦後、ニューメキシコとアイダホは解体されましたが、ミシシッピは実験艦として運用されました。

[画像の説明と注釈、参考文献などの情報を省略]

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