ヌガウンデレ

ヌガウンデレ：カメルーン、アダマワ州の州都

ヌガウンデレ（Ngaoundéré、またはN'Gaoundéré）は、カメルーンのアダマワ州の州都です。2012年の人口は約19万5千人で、カメルーン北部の重要な都市の一つです。首都ヤウンデとを結ぶ鉄道の北の終点であり、空港を備えているため、交通の要衝としての役割も担っています。

地理と地名の由来

「ヌガウンデレ」という地名は、ムブム族の言葉で「へそ山」を意味し、近くにそびえる山にちなんで名付けられました。その山自体もヌガウンデレ高地に位置し、ヌガウンデレ高地はアダマワ高地に包含されます。この地形が、ヌガウンデレのランドマークとなっています。

歴史

ヌガウンデレは、ムブム族にとって古くからの主要都市でした。1835年前後に、フラニ族のリーダー、アルド・ンジョブディが街を建設し、現在のヌガウンデレの基礎を築きました。19世紀を通してフラニ族がこの地域を支配しました。

1882年には探検家のエドゥアルト・フレーゲルがこの街を訪れ、1894年にはアルド・ムハンマドゥ・アボゥがドイツの地理学者ジークフリート・パッサーゲと条約を結び、この地域はドイツ帝国の保護領となりました。その後、ドイツ、イギリス、フランスの間で条約が取り交わされ、地域はドイツ保護領カメルーンに組み込まれました。1901年9月20日にはドイツ軍が街を占領しました。

第一次世界大戦中の1915年7月29日には、イギリス軍とドイツ軍の間で小競り合いが起こりました。これは、イギリス、フランス、ベルギーが展開したカメルーン戦役の一幕でした。終戦以降はカメルーンの独立に至るまでフランスが支配を続けました。

民族構成

ヌガウンデレには、ムブム族、フラニ族など多様な民族が暮らしています。元々ムブム族がこの地域の先住民でしたが、19世紀にフラニ族が進出してきました。1835年ごろにヌガウンデレが建設されると、フラニ族はムブム族とともに地域を支配しました。ムブム族はイスラム法に則って治安の維持を行い、ラミド（藩王）となるものは、その父親が最初のラミドであるアルド・ンジョブディの子孫、母親はムブム族の子孫であることが要求されました。この制度によってラミドは地域の全住民を代表していたようです。

アダマワ州でも突出して大きな街に成長すると、ヌガウンデレは周辺地域から人々を引き寄せるようになり、1973年に鉄道が開通すると人口が急増し、アダマワ州以外の出身者の割合が増加しました。その結果、かつて街の中心であったグラン・マルシェ（大市場）よりも、南部出身者が多く居住するプチ・マルシェ（小市場）の方が規模が大きくなるという変化も起きました。

交通

ヌガウンデレは、カメルーンの南部と北部をつなぐ交通の要衝です。舗装された道路がガルア、マルア、チャドへと通じています。ヨウンデから伸びる鉄道はこの街で終点となり、駅舎は常に活気に満ちています。南部からはバナナ、果物、生活雑貨などが送られてくる一方、北部からは綿花や畜牛などが鉄道を通して南部へと送られます。

空港には1.6キロの滑走路があり、ボーイング737型級旅客機の発着が可能です。1980年代から1990年代初頭には、ヨウンデ、ドゥアラ、ガルア、ンジャメナへ週に数便の運行がありましたが、経済の停滞や旧カメルーン航空の経営不振によりフライトは大幅に縮小されています。空港のICAOコードはFKKN、IATAコードはNGEです。

宗教

人口の約60%がイスラム教徒で、戒律に対して比較的寛容です。30%以上をキリスト教徒が占めており、ルーテル教会、カトリック教会、バプテスト教会、聖公会など様々な宗派が存在します。宗教間の対立は慢性的に存在しますが、近年ではイスラム過激派の影響は見られていません。伝統的に既婚女性は宗教に関わらず髪を覆う衣装を纏いますが、近年ではヒジャブを着用するイスラム女性も増えています。

名所

ラミド宮殿（Lamido Palace）
ラミド・グランド・モスク（Lamido Grand Mosque）

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