ネイサン・ジェームズ

ネイサン・ジェームズ：小説とドラマの架空駆逐艦

アメリカ海軍を舞台としたウィリアム・ブリンクリーの小説『ザ・ラストシップ』、およびそのテレビドラマシリーズに登場する架空の駆逐艦「ネイサン・ジェームズ」。第二次世界大戦の英雄を艦名に冠した同艦は、小説とドラマで異なる設定を持つ興味深い存在です。

小説版「ネイサン・ジェームズ」

小説版における「ネイサン・ジェームズ」は、全長142メートル、全幅18メートル、喫水8.2メートルの堂々たる艦艇です。最高速度は38ノットを誇り、強力な火力も備えています。艦には、合計122セルのMk.41垂直発射システム（VLS）が搭載され、その中には200キロトン級の核弾頭を備えたトマホーク巡航ミサイル56発が搭載されています。

テレビドラマ版「ネイサン・ジェームズ」

ドラマ版では、設定が大きく変更されています。艦種はアーレイ・バーク級駆逐艦となり、母港はノルウェーからバージニア州ノーフォーク海軍基地に変更されています。ハルナンバーも小説版の「DDG-80」から「DDG-151」に変更されており、これは現実のアーレイ・バーク級駆逐艦「ルーズベルト」が小説版と同じハルナンバーを持っていたためです。この変更により、ドラマ版の「ネイサン・ジェームズ」はアーレイ・バーク級の100番艦という位置付けになります。

乗員数はシーズン1では217名でしたが、物語の展開とともに変動し、シーズン2最終話では205名となっています。シーズン2の終盤、ミズーリ州セントルイスでドック入りし、戦闘による損傷の修復を行いました。

ドラマ版の撮影には、アメリカ海軍の全面協力のもと、アーレイ・バーク級の同型艦が使用されました。特にフライトⅡA、31番艦「ウィンストン・S・チャーチル」以降の艦艇が撮影に使用され、ヘリコプター格納庫や62口径のMod.4 5インチ砲、後部1基のBlock1BファランクスCIWSといった装備が反映されています。

主要登場人物

ドラマ版では、個性豊かな登場人物たちが「ネイサン・ジェームズ」に乗り込み、様々な危機に立ち向かいます。艦長であるトム・チャンドラー中佐をはじめ、副艦長のスラッタリー中佐、最先任上級兵曹長のジーター先任曹長、機関長のガーネット少佐、そして様々な職種の士官や兵士たちが緊迫した状況下で協力し合います。さらに、CDCの細菌学者であるレイチェル・スコット博士や、PMC社員のテックス・ノーランといった民間人も物語に深く関わってきます。それぞれのキャラクターの背景や人間関係もドラマを彩る重要な要素となっています。

激戦の戦歴

ドラマ版では、「ネイサン・ジェームズ」は数々の戦闘を経験します。

シーズン1、第1話：北極圏でロシア軍の攻撃ヘリコプター3機と交戦し、5インチ砲、25mm単装機関砲、ファランクスCIWS、M240汎用機関銃で撃墜しました。ミサイルの直撃を受けながらも軽微な損害で済みました。
シーズン1、第2話：グァンタナモ米軍基地でアルカイダの勢力と交戦。艦砲射撃で上陸部隊を掩護し、基地内の戦闘を支援しました。
* シーズン1、第3話：ロシア海軍のキーロフ級[[ミサイル巡洋艦]]「ヴェルニ」と対峙。巧みな回避策で戦闘を回避し、窮地を脱しました。

これらの戦闘シーンは、ドラマ版の緊迫感と迫力を見事に表現し、視聴者を魅了しています。

まとめ

「ネイサン・ジェームズ」は、小説とドラマで異なる設定を持ちながらも、両作品において重要な役割を果たす架空の駆逐艦です。その設定や登場人物、戦闘シーンを通じて、フィクションの世界観と現実の海軍艦艇の技術的側面を同時に楽しむことができます。 ドラマ版におけるアメリカ海軍の全面協力による精巧な描写も、その魅力を高めています。 小説版と比較検討することで、フィクションの創作プロセスについても考察できる興味深い題材と言えるでしょう。

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