ネオテーム

ネオテーム：高甘味度人工甘味料の特性と安全性

ネオテームは、スクロース（砂糖）の7000～13000倍もの驚異的な甘味を持つ、ノンカロリーの人工甘味料です。アスパルテームのアナログとして開発され、アスパルテームと比較しても30～60倍の甘味度を誇ります。そのすっきりとした甘みは砂糖に近いと評され、食品や飲料への利用が期待されています。

ネオテームの性質

ネオテームは、アスパルテームを化学的に修飾して合成されたジペプチドメチルエステル誘導体です。常温では白色～灰白色の無臭の固体で、アルコールには溶けやすい一方、水への溶解度はやや低めです。0.5%水溶液はpH5.8の弱酸性を示します。

アスパルテームと類似した構造を持つものの、ネオテームは熱や発酵に対して高い安定性を示します。ただし、エステル結合を持つなど、他の甘味料と比較して絶対的に安定な構造であるとは言えません。

ネオテームの歴史と認可

ネオテームは、アメリカのモンサント社によって開発されました。その後、ニュートラスイート社を経て、2002年からファイザー社が特許を保有しています。アメリカでは2002年にFDA（アメリカ食品医薬品局）から食品添加物としての認可を受け、日本でも2007年に食品添加物として認可されました。日本では大日本住友製薬とニュートラスイートが申請を行いました。

ネオテームの用途と特徴

ネオテームは、その高い甘味度から少量の使用で強い甘味を実現できるため、様々な食品や飲料に利用されています。砂糖に近いすっきりとした甘みが特徴ですが、かすかに甘い後味が長く残る点が砂糖との違いです。

アセスルファムカリウムやサッカリンといった他の人工甘味料と比較して、苦味の後味が少なく、甘みの発現が遅いという特徴もあります。甘味効果に加えて、食品本来の風味を引き立てる風味増強効果や、苦味などの不快な味をマスキングする効果も併せ持っています。

2008年時点では、日本で認可されている甘味料の中で最も高い甘味度を有していました（スクロースの約1万倍）。しかし、2014年にはさらに高甘味度のアドバンテーム（スクロースの約2万倍）が認可されています。

ネオテームの代謝と安全性

ネオテームは経口摂取されると、体内のエステラーゼによって加水分解され、メタノールと脱エステル化ネオテームという代謝物が生成されます。アスパルテームと同様にフェニルアラニンを含むものの、ネオテームの代謝物にはほとんどフェニルアラニンが含まれません。これは、ネオテームの分子構造上の特徴によって、消化酵素の働きが阻害されるためです。

このため、フェニルケトン尿症患者への注意喚起としてL-フェニルアラニン化合物を含む旨の表示は、日本とアメリカ合衆国いずれでも義務付けられていません。また、通常の使用量では、代謝によって生成されるメタノールの量は、毒性に関して問題となるレベルには達しないとされています。

まとめ

ネオテームは、高甘味度、高い安定性、そして安全性という特性を兼ね備えた人工甘味料です。そのすっきりとした甘みと、他の甘味料にはない特徴的な性質から、様々な食品への応用が期待され、今後も食品業界において重要な役割を果たしていくと考えられます。

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