ネオ・ジオ

ネオ・ジオ (Neo Geo)

坂本龍一が1987年にリリースしたオリジナル・アルバム『ネオ・ジオ』は、彼の音楽キャリアにおいて特別な位置を占める作品です。このアルバムは、坂本が国際市場を意識して制作した初のアルバムとなり、CBS/SONYのTERRAPINレーベルから発表されました。以前の作品は主に国内向けに制作されていましたが、『ネオ・ジオ』は海外でのリリースを見据え、幅広い音楽スタイルを取り入れたものとなっています。これによって、坂本は日本の音楽を国際的に展開する道を開いたといえるでしょう。

制作背景

坂本がアルバムを制作する際、共同プロデューサーとしてビル・ラズウェルが参加しました。ラズウェルは、「ドライブ」をテーマにした前作『未来派野郎』に続くスタイルを引き継ぎつつ、ハービー・ハンコックの『Rockit』をプロデュースした技術や視点を取り込むことで、アルバムの完成度を高めました。また、坂本は前年に同じくラズウェルのプロデュースによるパブリック・イメージ・リミテッドのアルバムにも関与しており、相互の音楽的交流が作品に反映されています。

アルバムのタイトル

アルバムのタイトルである“NEO GEO”は、「新しい地図」を意味する「Neo Geography」の略称です。このタイトルには、国や民族の枠を超えた音楽の可能性や、互いに認め合う世界を目指す意図が込められています。坂本自身は、このタイトルの読み方について「ネオ・ジオ」とされることを認めつつ、実際には「ニオ・ジオ」と発音していると述べたこともあります。

収録曲

アルバムには、坂本自身の作曲だけでなく、他の作曲家との絡みも見られる多様な曲が収められています。代表曲の一つに、オープニングトラックの『BEFORE LONG』があります。この楽曲は、ピアノとシンセサイザーによるシンプルながらも美しいメロディで始まり、聴く者を引き込む構成になっています。さらに、タイトル曲である『NEO GEO』では、ゴーゴー、ロック、沖縄民謡、民族音楽を組み合わせた独特なアプローチが試みられ、坂本の音楽への新たな探求が感じられます。

『RISKY』も特徴的な楽曲で、イギー・ポップがヴォーカルを担当しており、坂本とラズウェルが手がけたバックトラックに乗せて気まぐれに歌ったスタイルが印象的です。この曲は、日産・セドリックのCMに使用されるなど、当時の流行を反映した一曲といえるでしょう。

また、カバー曲『FREE TRADING』は、坂本が自身のスタイルで再解釈したもので、オリジナルよりも坂本らしいと感じたとのことです。他にも『SHOGUNADE』や『PARATA』など、坂本が独自の音楽世界を表現するために工夫を凝らした楽曲が揃っています。

参加ミュージシャン

このアルバムの完成には、ビル・ラズウェルやブーツィー・コリンズといった知名度の高いミュージシャンが関わっており、多彩なサウンドを実現しています。これにより、坂本の持ち味である電子音楽とアコースティック音楽の融合が、一層際立っています。

まとめ

『ネオ・ジオ』は、坂本龍一の音楽的探求が見事に表現されたアルバムであり、様々な音楽ジャンルの要素が組み合わされることで、新たな音楽的地図が描かれました。この作品は、今なお多くの音楽ファンにとって重要な存在となっています。

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