ネパール軍

ネパール軍の概要

ネパール軍（ネパール語: नेपाली सेना）は、ネパールの軍隊であり、大統領が名目上の最高指揮官を務めています。陸軍航空隊を含むネパール陸軍によって構成されており、内陸国であるため海軍は保有していません。独立した空軍も存在せず、空軍の機能は陸軍航空隊が担っています。かつては王制時代に王立ネパール陸軍 (Royal Nepal Army) と呼ばれていましたが、現在はネパール軍として活動しています。また、陸軍とは別に「武装警察」が存在し、国内の治安維持を担当しています。

2008年時点では、ネパール陸軍は約95,000人の兵員を擁し、国内各地に6個師団が配置されています。さらに、航空旅団、空挺旅団、治安旅団の3個独立旅団も編成されています。兵役は志願制で、18歳から軍への登録が可能です。2017年の統計によると、ネパールの軍事予算は444億ルピー（約4.16億ドル）であり、GDP比は1.55%となっています。武器や装備の多くはインドからの輸入に依存しています。1990年の憲法では指揮権は国王にありましたが、現在は首相、国防大臣、陸軍参謀総長からなる軍事評議会が設置され、軍の最高指揮権は大統領が有しています。

毛沢東派ゲリラ組織との統合

かつてネパール軍と敵対していた毛沢東派のゲリラ組織、ネパール人民解放軍との統合問題は、制憲議会で重要な課題として議論されました。2011年11月には、主要政党間で軍統合を含む「7項目の合意」が成立し、統合作業が開始されました。当初の合意では、6,500人の戦闘員をネパール国軍に統合する予定でしたが、統合方法が「侮辱的」であるとして引退を希望する者が多く、また学歴や年齢が基準を満たさないために選抜から外れる者もいました。その結果、第一段階の分類作業には約17,000人（統合希望者約9,500人）が参加しましたが、最終的には士官候補71人を含む1,442人（女性105人を含む）がネパール国軍に統合されることになりました。

これらの統合された戦闘員は、階級が未定のまま、2012年11月25日からネパール国軍施設で9ヶ月間の訓練を受けました。その後、彼らはネパール国軍に新設されたGeneral Directorate of National Development, Forest Protection and Calamity Management（構成員はマオイストの元戦闘員35％、政府治安部隊員65％）に配属され、非戦闘員としてインフラ建設、森林保護、災害救助などの分野で活動しています。階級問題については、2013年3月13日に主要政党間で合意が成立し、1人に大佐、2人に中佐のポストが与えられました。

国際関係と活動

ネパール軍は、国境を接するインドや中国、国際社会との関係を重視しています。2017年4月には、首都カトマンズで初の合同軍事演習を実施し、インドやアメリカとは既に合同演習を行っています。また、国際連合平和維持活動（PKO）にも積極的に参加しています。

陸軍の階級

ネパール陸軍の階級は以下の通りです。
Paramadhipati: 大元帥（廃止）
Field Marshal: 野戦元帥
Pradhan Senapati: 参謀総長
General: 大将
Lieutenant General: 中将
Major General: 少将
Brigadier General: 准将
Colonel: 大佐
Lieutenant Colonel: 中佐
Major: 少佐
Captain: 大尉
Lieutenant: 中尉
Second Lieutenant: 少尉
Subedar Major: 准少尉
Warrant Officer 1: 上級准尉
Warrant Officer 2: 下級准尉
Sergeant: 軍曹

参加した主な戦争

ネパール軍は、以下の主要な戦争に参加してきました。
ネパール統一戦争
ミール・カーシムとの戦い (1763年)
カトマンズの戦い (1768年)
パタンの戦い (1768年)
バクタプルの戦い (1769年)
清・ネパール戦争
対英戦争（グルカ戦争）(1814年 - 1816年)
ネパール・チベット戦争
インド大反乱（セポイの乱）で英軍を援助
第一次世界大戦で連合国軍に参加 (1914年-1918年)
ワズィーリスターン戦争（英領インド）で英軍を援助（1910年代）
第三次英・アフガン戦争で英軍を援助 (1919年)
第二次世界大戦で連合国軍に参加
インド・ハイダラーバード藩王国制圧でインド政府を支援 (1948年)
1974年、国内・カンパスの武装解除（中国・チベット紛争の影響）
ネパール内戦（1996年-2006年）：毛沢東派は「人民戦争」と呼称。国連の停戦監視には日本も自衛官6人を派遣 (2007～2011年)。

保有装備

ネパール軍は、以下の装備を保有しています。

装甲車両

フェレット装甲偵察車 ×40
OT-64C 装甲兵員輸送車 ×8
WZ-551 装甲兵員輸送車 ×5
キャスパー軽装甲車 ×90
MPV 軽装甲車 ×150
東風猛士軽装甲車
CS/VN3C mod2 軽装甲車

砲兵

L118 105mm榴弾砲 ×8
山砲 ×14
M-43 120mm迫撃砲 ×70

対空兵器

56式 (ZPU-4) 14.5ｍｍ対空機関銃 ×30
37mm対空機関砲
ボフォース L/60 40mm対空機関砲 ×2

固定翼機

BN-2T アイランダー軽輸送機 ×1
CN235M-220 軽輸送機 ×1
M-28 スカイトラック軽輸送機 ×3
PA-28 チェロキー練習機 ×2

回転翼機

A139 汎用ヘリ ×1
ベル 407GXP 要人輸送ヘリ ×1
ドゥルーヴ汎用ヘリ ×2
ランサー汎用ヘリ ×2
Mi-17-1V ヒップH 汎用ヘリ ×3
Mi-17V-5 ヒップ汎用ヘリ ×2
SA315B ラマ汎用ヘリ ×1
SA316B アルエットIII 汎用ヘリ ×2
SA330J プーマ輸送ヘリ ×1
AS350B2 エキュレイユ輸送ヘリ ×2

ギャラリー

(ギャラリーに関する画像リンクは省略)

脚注

(脚注に関する情報は省略)

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