L118 105mm榴弾砲

L118 105mm榴弾砲

L118 105mm榴弾砲は、イギリスで開発された牽引式の軽量榴弾砲です。1970年代にイギリス陸軍に採用され、その後、アメリカ合衆国がM119として制式化するなど、世界各国で広く使用されています。

開発の背景

1960年代から1970年代にかけて、イギリス陸軍は、老朽化したQF 25ポンド砲やM116 75mm榴弾砲の後継として、イタリア製のオート・メラーラMod56 105mm榴弾砲をライセンス生産したL5 105mmパックハウザーを採用していました。L5は軽量でヘリコプター輸送や空挺降下が容易でしたが、射程が短く、ソ連のD-30 122mm榴弾砲のような長射程砲に対抗するには不利でした。

そこでイギリス陸軍は、ロイヤル・オードナンス（現BAEシステムズ・ランド・アンド・アーマメンツ）に対し、小型軽量でありながら、従来の105mm榴弾砲よりも長射程の105mm榴弾砲の開発を依頼し、開発されたのがL118です。

概要

L118は、軽量化と迅速な射撃準備のため、V字型に近い箱型砲脚を採用しています。射撃時には、車輪の下に円盤状の台座を敷き、砲本体とワイヤーで固定することで、砲架の脚を持ち上げて全周旋回を容易にする設計は、第二次世界大戦中のQF 25ポンド砲の影響を受けています。

L118は、トラックやランドローバーなどで容易に牽引できるだけでなく、ヘリコプターでの輸送も可能です。運用柔軟性はL5パックハウザーと比較して遜色ありません。標準的な榴弾で17,200mの射程を持ち、これは従来の105mm榴弾砲を大きく上回ります。

実戦投入

L118が初めて実戦投入されたのは、1982年のフォークランド紛争です。イギリス軍は、30門のL118をフォークランド諸島に展開し、地上戦に投入しました。ポートスタンリー奪還作戦では、アルゼンチン軍のM56 パックハウザーやM101といった旧式の105mm榴弾砲に対し、L118の長射程が有利に働き、効果的な砲撃を行うことができました。

その後、湾岸戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争などにおいてもイギリス軍はL118を投入しました。アメリカ陸軍も、L118の改良型であるM119をアフガニスタン紛争やイラク戦争で使用しています。また、エディンバラ城では、毎日午後1時に空砲を発射するワン・オクロック・ガンにL118が使用されています。

諸元・性能

制式名: L118
種別: 榴弾砲
口径: 105mm
砲身長: 3885mm（37口径）
重量: 1,858kg
全長: 8.8m
全幅: 1.78m
全高: 2.13m
砲員数: 6名
作動機構:
砲尾: 手動垂直鎖栓式閉鎖機
反動: 液気圧式駐退復座装置
砲架: 装輪箱型式脚
性能:
俯仰角: -5.625°~69.975°
旋回角: 左右に5.625°ずつ（台座に乗せた場合は360度全周旋回が可能）
初速: 709m/s
最大射程: 17,200m（標準榴弾使用時）, 20,600m（BB弾使用時）
発射速度: 6-8発/分（最大）
弾薬: 分離装薬筒

派生型

L119

NATO標準規格の105x372mmR半完全弾薬筒を使用可能にした型です。イギリス軍では王立砲兵学校の訓練用として使用されていましたが、L5 パックハウザー用の弾薬在庫が払底した2005年頃に運用を終了し、L118に更新されました。輸出モデルとしては、既存の105mm榴弾砲との互換性から広く利用されています。

M119

L119をアメリカ合衆国がライセンス生産したものがM119です。

採用国

イギリス
アメリカ合衆国
その他多数

関連項目

榴弾砲
QF 25ポンド砲
オート・メラーラMod56 105mm榴弾砲
* M119 105mm榴弾砲

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