ネムノキ科 (Mimosaceae)
ネムノキ科は、
マメ科に非常に近い植物のグループで、分類学的な位置づけは、体系によって異なります。
クロンキスト体系では独立した科として扱われていますが、
新エングラー体系やAPG植物分類体系では、
マメ科の一亜科である
ネムノキ亜科 (Mimosoideae) として分類されることがあります。
特徴
ネムノキ科の植物は、
マメ科と同様に豆果と呼ばれる
果実をつけます。
花は放射相称で、
花びらは小さく、おしべが目立つものが多いです。おしべの数は種によって異なり、多くは10本ですが、多数のおしべを持つ種も存在します。めしべは通常1本ですが、ごく一部の種では数本から10数本になることもあります。小さい
花が多数集まり、頭状または穂状の
花序を形成します。葉は細かい2回羽状複葉となるものが多く、木本である種がほとんどですが、つる性のものも存在します。
分布
ネムノキ科の植物は、主に
熱帯や
亜熱帯地域に分布し、約50属2000種が確認されています。日本には、
ネムノキ(
東北地方北部以南)、モダマ(
南西諸島)が自生しており、ギンネムが
亜熱帯地域に帰化しています。特にモダマは、長さ1メートルにもなる巨大な豆果をつけることで知られています。
主な植物
アカシア属 (Acacia)
一般的にミモザと呼ばれることもありますが、ニセ
アカシアは異なる属の植物です。
観賞用に栽培されるものが多く、アラビアゴムの原料となる種もあります。
ギンヨウ
アカシア (A. baileyana)
フサ
アカシア (A. dealbata)
キンゴウカン (A. farnesiana)
アラビアゴムノキ (A. senegal)
オジギソウ属 (Mimosa)
「動く植物」として知られる
オジギソウ (M. pudica) が有名で、観賞用に栽培されることがあります。
ネムノキ属 (Albizia)
ネムノキ (A. julibrissin) は、美しい
花を咲かせることで知られています。
モンキーポッド (A. saman) は、大きな樹冠が特徴的です。
ギンネム属 (Leucaena)
ギンネム (L. leucocephala) は、
熱帯・
亜熱帯地域でよく見られる帰化植物です。
モダマ属 (Entada)
モダマ (E. phaseoloides) は、非常に大きな豆果をつけることで知られています。
主な下位分類群
アカシア連 (Acacieae)
アカシア属 (Acacia)
オジギソウ連 (Mimoseae)
アメリカゴウカン属 (Desmanthus)
イリノイバンドルフラワー (D. illinoensis)
モダマ属 (Entada)
ギンネム属 (Leucaena)
ギンネム (L. leucocephala)
オジギソウ属 (Mimosa)
オジギソウ (M. pudica)
ネムノキ連 (Ingeae)
ネムノキ属 (Albizia)
ネムノキ (A. julibrissin)
モンキーポッド (A. saman)
ベニゴウカン属 (Calliandra)
ベニゴウカン (C. eriophylla)
パルキア連 (Parkieae)
パルキア属 (Parkia)
ヒロハフサマメノキ (P. biglobosa)
ネジレフサマメノキ (P. speciosa)
ペンタクレトラ属 (Pentaclethra)
ネムノキ科の植物は、その多様性と特徴的な形態から、観賞用や資源として重要な役割を果たしています。