ノビ

囲碁における「ノビ」とは

囲碁における「ノビ」とは、すでに盤上に存在する自分の石に隣接させて石を打つことを指します。この打ち方は、あたかも自分の石を伸ばすように見えることから「ノビ」と呼ばれています。動詞として使う場合は「ノビる」となります。

ノビの基本的な意味

ノビは、主に以下の二つの目的で使われます。

1. 自石の補強: 相手の石と接触している自石を補強し、より強固な形を作る。
2. 勢力の蓄積: 中央に向けてノビることで、盤面全体に影響を与える勢力を蓄える。

特に、戦いの中で頻繁に使われる打ち方であり、囲碁の基本とも言えます。

ツケノビ

「ツケにはハネよ、ハネにはノビよ」という格言があるように、相手の石に「ツケ」て、相手が「ハネ」てきたら、次に「ノビ」を打つという一連の打ち方を「ツケノビ」と呼びます。これは、実戦でよく見られる攻防のパターンです。

「立ち」という表現

相手から「コスミツケ」や「ツキアタリ」を打たれた際に、中央に向かってノビる手を、特に「立ち」と表現することがあります。この「立ち」は、相手の攻めに対して、自陣を強化するための重要な一手となります。

ノビの派生形

ノビには、以下のような派生形があります。

ノビキリ: 中央に向かって強くノビることで、勢力圏争いを有利に進めるような手を指します。この言葉は、ノビの効果を強調する意味合いで使われます。
ノビコミ: 相手の地模様の中にノビて侵入するような手を指します。これは、相手の地を削るためや、相手の石を分断するために使われます。
ノビダシ: アタリになっている自分の石を逃げるためにノビる手や、相手に打たれると動きが取れなくなる可能性のある石からノビる手を指します。特にアタリを逃げるノビダシは「逃げ」とも呼ばれますが、やや俗な表現です。

類似の用語との比較

ノビと似たような言葉に「ヒキ」や「サガリ」があります。これらの言葉には厳密な定義はありませんが、それぞれ以下のようなニュアンスで使い分けられます。

ノビ: 相手の動きに反応して、中央に向けて打つ手。
ヒキ: 自分の石と連携するように打つ手。
サガリ: 盤の端に向かって打つ手。

また、「ツキアタリ（ブツカリ）」「オシ」「マガリ」「ナラビ」なども自分の石に並べて打つ手ですが、それぞれ異なる意味合いを持っています。これらの用語については、各項目を参照してください。

参考図書

* 片岡聡『ノビとサガリ (烏鷺うろブックス)』日本棋院　1990年

ノビは、囲碁における基本的ながらも奥深い打ち方の一つです。このページが、囲碁の理解を深める一助となれば幸いです。

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