コスミ

囲碁における「コスミ」とは

囲碁における「コスミ」とは、自分の石から斜め方向に石を打つ手のことを指します。動詞としては「コスむ」と言います。漢字では「尖み」と表記されますが、現代ではほとんど使われることはありません。

例えば、下の図の黒1の石がコスミです。


a b
● ○
1


もし、aやbの点にすでに自分の石や相手の石がある場合は、コスミとは呼びません。自分の石がある場合は「マガリ」、相手の石がある場合は「ハネ」という別の用語を用います。

コスミの特徴

コスミは、相手がaに打ってきたらb、bに打ってきたらaと応じることで、石を切断されることなく連絡を保つことができます。そのため、足は遅いものの、着実に連絡を取りながら中央に進出するための有効な手段となります。また、死活やヨセの局面でも頻繁に用いられる重要な手筋です。

コスミの活用例

定石におけるコスミ

黒1のコスミは、幕末の大棋士である本因坊秀策が多用したことから、「秀策のコスミ」とも呼ばれています。この手は、aのカケや、b、c、d方面からのハサミ、左辺へのヒラキなど、その後の展開を視野に入れた打ち方です。

コミ碁が一般化するにつれて、黒番でのこの手は、攻めの効率が悪い緩手とみなされ、プロ棋士の間では長らく敬遠されてきました。しかし近年、囲碁AIがこの手を最善手として選択する例が数多く見られるようになり、コスミの再評価が進んでいます。現在では、以前よりも多く打たれるようになっています。

死活におけるコスミ

コスミは、死活の局面でも手筋として活用されることがあります。例えば、下の図で黒1とコスムことで、隅の白石の眼を奪い、白石を仕留めることができます。


○
● 1
○

手筋としてのコスミ

コスミは手筋としても有効です。例えば、下の図で黒1とコスんだ場合、白がaにサエギると、黒はbに切って攻め合いに勝つことができます。そのため、白はbとツグしかなく、黒はaに打って生還することができます。


a
●1 ○
b

ヨセにおけるコスミ

終盤のヨセの局面では、二線へのコスミが大きな手になることが多くあります。黒から先にコスむか、白から先にコスむかで、ヨセの大きさが大きく変わるため、ヨセに入ると真っ先に打たれることも多いです。さらに、黒3から5のハネツギが先手で利く場合は、非常に大きなヨセになります。


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1 ●
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コスミに関連する用語

コスミツケ

コスミとツケを同時に行うような手を「コスミツケ」と言います。

コスミダシ

コスんで相手の石の間から顔を出すような手を「コスミダシ」と呼ぶことがあります。

三羽烏

下の図のように、黒1から3と三方向にコスんだ形を「三羽烏」と言います。隅への白の侵入を防ぎ、黒は確実に15目程度の地を確保することができます。しかし、平成以降は一隅に三手もかけるのは効率が悪いという考え方が広まり、打たれることは少なくなっています。


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関連用語

トビ
ケイマ
ハザマ

参考図書

影山利郎『コスミの戦法 (烏鷺うろブックス) 』

コスミは、地味ながらも囲碁において重要な役割を果たす手筋の一つです。その意味や活用法を理解することで、より深く囲碁を楽しむことができるでしょう。

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