ノボリハウツー

ノボリハウツー：活躍と悲劇の競走馬

ノボリハウツーは、日本の競走馬として中央競馬で活躍しました。特に障害競走においては、高い能力を発揮し、多くのファンを魅了しました。しかし、その生涯は、華々しい勝利だけでなく、予期せぬ事故と悲劇的な結末によって彩られています。この記事では、ノボリハウツーの競走馬としての軌跡と、2007年に発生した有名な脱走事件について詳細に解説します。

華々しいデビューから障害競走への転向

2003年、ノボリハウツーは競走馬としてデビュー。平地競走で3勝を挙げた後、2005年秋に障害競走に転向しました。当初は障害競走への適応に苦しみ、初勝利までには5戦を要しました。一度は平地競走に復帰し1勝を挙げましたが、再び障害競走に戻ると、安定した成績を残すようになりました。

特に注目すべきは、コウエイトライとの対戦です。小倉サマージャンプではコウエイトライに敗れましたが、続く小倉障害オープン、そして次の障害オープンと連勝し、勢いに乗って阪神ジャンプステークスに1番人気で挑みました。このレースでは、コウエイトライと接戦を繰り広げ、一時先頭に立ちましたが、最後はクビ差で2着となりました。惜しくも勝利を逃しましたが、その強さを証明する走りでした。その後、京都ハイジャンプにも出走しましたが、5着に終わりました。

衝撃の脱走事件

2007年2月24日、阪神競馬場で行われた障害競走で、ノボリハウツーは衝撃的な事件を引き起こしました。レース中、騎乗していた船曳文士騎手らが落馬。カラ馬となったノボリハウツーは、驚異的なスピードで競馬場から脱走しました。落馬した騎手を収容する救急車のゲートを突破し、厩舎地区を抜け、競馬場の業務用通用門から県道に飛び出したのです。約500メートル走り、通行人に危害を加えることなく、松元省一調教師と稲葉的海調教助手によって捕獲されました。

この脱走劇は、1964年以来となる珍事として大きな話題となりました。幸い、ノボリハウツー自身も、通行人も怪我はありませんでしたが、落馬した騎手たちは重傷を負いました。船曳騎手は鎖骨骨折、石山繁騎手は脳挫傷という深刻な事態となりました。

悲劇的な最期

脱走事件からわずか2週間後、ノボリハウツーは阪神スプリングジャンプに出走。しかし、再び落馬転倒し、左第1指関節亜脱臼を発症しました。予後不良と診断され、安楽死の措置が取られました。

血統とその後

ノボリハウツーの母は中央競馬で未勝利でしたが、その弟妹には、阪神ジャンプステークス優勝馬アズマビヨンドと、クイーンカップ優勝馬チューニーという活躍馬がいました。

ノボリハウツーの生涯は、短くも劇的なものでした。数々のレースでの活躍、そして衝撃的な脱走事件、そして悲劇的な最期…。その名前は、競馬史に刻まれた、忘れられない競走馬として記憶されています。

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