森村グループ

森村グループ：セラミックス業界を牽引する企業集団

森村グループは、第二次世界大戦前に存在した森村財閥の流れを汲む、歴史ある企業グループです。その中核を担うのは、高級陶磁器や砥石で世界的に有名なノリタケ株式会社（旧・ノリタケカンパニーリミテド）です。

グループの特徴として、各企業がそれぞれの専門分野で高い競争力を持つ点が挙げられます。これは、グループが掲げる「一業一社」という理念に基づいて、各社が独立性を保ちながら、それぞれの得意分野を深耕してきた結果です。

例えば、TOTOは衛生陶器、日本特殊陶業はスパークプラグ、日本ガイシはがいしといった具合に、主要企業はそれぞれの分野で国内トップクラスのシェアを誇ります。かつてグループに属していたINAX（現LIXIL）も、衛生陶器分野で大きな存在感を示していました。

グループ内では、かつて「森村十社会」と呼ばれる集まりが存在していました。これは、上場企業6社と非上場企業4社から構成され、年2回、常務以上の役員による定例会が開催されていました。現在でも、この名称は一部で使用されているようです。

森村グループの統括は、森村一族が経営権を握る森村商事が担っています。森村商事の社外取締役に、グループ主要企業の会長が就任するなど、緊密な連携体制が構築されています。

近年では、グループの技術力を結集した新たな取り組みも注目されています。2019年には、日本特殊陶業、TOTO、日本ガイシ、ノリタケの4社が共同で、固体酸化物燃料電池（SOFC）を製造・販売する合弁会社「森村SOFCテクノロジー」を設立しました。これは、持続可能な社会の実現に向けたグループの取り組みの一環と言えるでしょう。

主要グループ企業

ノリタケ株式会社: 高級陶磁器、砥石メーカー。森村グループの中核企業です。
TOTO: 衛生陶器、温水洗浄便座などを製造・販売する大手メーカー。
日本ガイシ: がいし、セラミックス製品などを製造・販売するメーカー。
日本特殊陶業: スパークプラグ、半導体パッケージなど、多様な製品を製造・販売するメーカー。
共立マテリアル: セラミックス原料の製造・販売を行うメーカー。
日本レヂボン: 研削砥石の製造・販売を行うメーカー。
森村SOFCテクノロジー: 森村グループ4社による合弁会社。SOFCの製造・販売を行います。
大倉陶園: 高級陶磁器（主に食器）の製造・販売を行うメーカー。
森村商事: 貿易や国内販売を行う企業。かつての森村財閥の中核企業でした。

過去のグループ企業

長年にわたるグループの変遷の中で、合併や再編により、いくつかの企業が消滅またはグループから離脱しています。例えば、INAXはLIXILの一ブランドとなり、グループから離れました。また、ノリタケグループ内では、複数の企業が合併・吸収合併を繰り返しています。これらの再編は、グループ全体の競争力強化を目的とした戦略的な措置であったと言えるでしょう。

森村グループの未来

森村グループは、長年にわたる歴史と実績、そして革新的な技術力を持つ企業集団です。セラミックス業界における高い地位を維持しながら、SOFC事業など、新たな分野への進出にも積極的に取り組むことで、今後も日本の経済社会に貢献していくことが期待されます。その未来の動向から目が離せません。

参考文献

週刊東洋経済・臨時増刊『日本経済をリードする最強の名古屋』2004年5月21号、東洋経済新報社
十名直喜「セラミックス王国・森村グループと「名古屋的経営」--名古屋圏の産業・経営にみる森村イズムの今日的意義」『名古屋学院大学論集』vol.41, P.61-84 （2005.1）
『中日新聞』中部財界ものがたり 時流の先へ:陶磁器を世界へ (2013年9月15日)

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