ハイアロクラスタイト

ハイアロクラスタイト

ハイアロクラスタイト（hyaloclastite）は、水中で形成される特殊な火山岩の一種です。この岩石は、高温のマグマが大量の水と急激に接触し、急冷される際に収縮・破砕されることによって生成されます。日本語では、水冷破砕溶岩、水冷破砕岩、水砕岩、水中自破砕溶岩など、複数の名称で呼ばれています。

定義

かつてはパラゴナイトタフという名称が用いられていましたが、この用語の対象範囲が広いため、命名の混乱が見られました。そこで、1960年代にアルフレッド・リットマンによって、成長過程にある枕状溶岩のガラス質部分が破砕された堆積物として、ハイアロクラスタイトが定義されました。この用語は、ギリシャ語で「粉砕されたガラス」を意味する言葉に由来します。

また、イタリアのシチリア島における海底火山噴出物の研究者であったサルヴァトーレ・ククッツァ・シルヴェストリは、溶岩が水中で冷却・破砕を繰り返す結果、ガラス質の破片が海底の玄武岩マグマの固化殻に付着し、集合して形成された火山岩をハイアロクラスタイトと定義しました。

現在では、安山岩質、デイサイト質、流紋岩質の溶岩、岩脈、ドームなどが水中で破砕されて形成された破片の集合物として、より広義に用いられています。

特徴

ハイアロクラスタイトは、急冷されたマグマの破片が主体であるため、火山ガラスを多く含んでいることが特徴です。また、水中で形成されるため、水との反応によって変質している場合が多く見られます。

参考文献

川内洋佑、C.A.Landis、渡辺暉夫「ハイアロクラスタイト」『地質学雑誌』第82巻第6号、1976年、355-366頁、doi:10.5575/geosoc.82.355。
山岸宏光『水中火山岩 : アトラスと用語解説』北海道大学図書刊行会、1994年。
周藤賢治、小山内康人『記載岩石学―岩石学のための情報収集マニュアル』共立出版〈岩石学概論〉、2002年。

関連項目

火山ガラス

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