ハイド・パーク (ロンドン)

ハイド・パーク（Hyde Park）

ハイド・パークはロンドンの中心部、ウェストミンスターとケンジントンにかけて位置する広大な公園であり、王立公園の一つとして知られています。この公園は、都市の喧騒を忘れさせる緑豊かな空間として、多くの人々に愛されています。公園の敷地は、サーペンタイン・レイクによって二つに分かれており、西隣のケンジントン・ガーデンズと連なっていますが、正式にはウエスト・キャリッジ・ドライヴによって区切られています。ハイド・パークだけでも142ヘクタール（350エーカー）の広さがあり、ケンジントン・ガーデンズとの合わせると253ヘクタール（625エーカー）にもなる、その規模はニューヨークのセントラル・パークと並びます。

公園の歴史とレイアウト

ハイド・パークの歴史は古く、最も古い部分はイーバリー卿の荘園跡に由来しています。この荘園はおおよそ60から120エーカーの広さがあり、ここから「ハイド」という名前が生まれたとされています。1536年にはイングランド国王ヘンリー8世が、この土地をウェストミンスター寺院から買い取ることで公園が設立されました。1820年代には建築家デシマス・バートンの手によって現在の公園のレイアウトが形作られました。ケンジントン・ガーデンズが平坦な造りであるのに対し、ハイド・パークは起伏に富んだ地形で、その対比が特徴です。

1851年には公園内で世界初の万国博覧会が開催され、ジョセフ・パクストン設計の水晶宮が特設されました。しかし、博覧会終了後、水晶宮はペンジ地区に移設され、その後の火災で焼失してしまいました。また、1982年にはIRA暫定派による爆破テロ事件が発生し、痛ましい歴史の一部として記録されています。

多彩なイベントと名所

ハイド・パークでは様々な音楽イベントが実施され、多くの著名なアーティストがロックコンサートを開催してきました。1968年のジェスロ・タルを皮切りに、ローリング・ストーンズ、ピンク・フロイド、クイーンなどがここでパフォーマンスを行っており、2005年のライヴ8の会場ともなりました。また、公園内でビートルズのアルバム「ビートルズ・フォー・セール」のジャケット写真が撮影されたことでも知られています。冬になると、「ハイド・パーク・ウィンターワンダーランド」と呼ばれる遊園地の祭典が開催され、多くの人々が訪れます。

グランド・エントランスと名所

公園の正門は、デシマス・バートンが設計したイオニア様式の美しい建築物で、3つの馬車用アーチと2つの歩行者用門が設けられています。中央の門は特別に大きく、4本の柱が支えるエンタブラチュアがあります。公園内には、北東に位置するスピーカーズ・コーナーや、南東のハイド・パーク・コーナーなど、多くの見所が点在しています。特にダイアナ妃記念噴水は、多くの訪問者が集まるスポットとなっています。

フィクションにおけるハイド・パーク

ハイド・パークは文学作品や映画にも登場し、特にロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』では重要な舞台となっています。また、アラン・ムーア原作のコミック『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』や、映画『ピクセル』でもその名が言及されています。これらの作品において、ハイド・パークは文化的な意味合いを持つ場所として描かれています。

ハイド・パークは、自然と歴史、文化が交差する特別な空間であり、ロンドンを訪れる際には欠かせない観光地と言えるでしょう。

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