ハイランダー 悪魔の戦士

『ハイランダー 悪魔の戦士』：不死の戦士たちの宿命と、クイーンの魂が響くファンタジー

『ハイランダー 悪魔の戦士』（原題：Highlander）は、1986年に公開されたアメリカ・イギリス合作のファンタジー・アクション映画です。グレゴリー・ワイデンの原作を基に、ラッセル・マルケイが監督を務めました。その独特な世界観と、クイーンによる音楽が融合し、多くのファンを魅了しました。映画の成功を受け、続編やテレビドラマといったスピンオフ作品も制作されています。

あらすじ：不死者たちの戦い

物語の舞台は、不死の戦士たちが存在する世界。彼らは「活力」(Quickening)と呼ばれるエネルギーを宿し、首を斬られない限り永遠に生き続けます。不死者たちは子孫を残すことができず、定められた「集合の時」に、最後の1人になるまで殺し合う宿命を背負っています。最後に生き残った者には、「究極の宝」が与えられるという。

主人公は、1518年にスコットランドのハイランダーの氏族に生まれたコナー・マクラウド。1536年の戦いで黒騎士クルガンに致命傷を負わされた際、不死者として覚醒します。しかし、その力は周囲から悪魔とみなされ、一族を追放されてしまいます。流れ着いた地で妻ヘザーと静かに暮らすコナーの前に、スペイン人の不死者フアン・ラミレスが現れます。

ラミレスは、クルガンが邪悪な不死者であり、「究極の宝」を渡すわけにはいかないと告げ、コナーを弟子として鍛え上げます。しかし、コナーが不在の夜、クルガンが現れ、ラミレスはコナーを守るため戦い、命を落とします。師を失ったコナーは、老衰で亡くなるヘザーを見送り、ハイランドを離れて旅に出ます。

1985年、ニューヨーク。ラッセル・ナッシュという名で古物商を営んでいたコナーは、「集合の時」が近いことを悟り、クルガンとの最後の戦いに挑むことになります。

制作の裏側：ミュージックビデオの手法と、雨との戦い

脚本は、グレゴリー・ワイデンがカリフォルニア大学ロサンゼルス校のワークショップで書いたものが元になっています。監督のラッセル・マルケイは、ミュージックビデオで培った素早いカットや、スピード感のある音楽を映画に取り入れました。

コナー・マクラウド役には当初ミッキー・ロークが候補に挙がっていましたが、最終的にクリストファー・ランバートが演じることになりました。撮影中には、コナーのキルトから魚を出すシーンで、スカートが短すぎたためにカメラの死角にパイプを隠し、そこから生きたマスを出すという工夫も凝らされました。

コナーとクルガンが出会うシーンの撮影日は雨に見舞われ、クルーはレンズに雨粒が付かないよう、傘とヘアドライヤーを使用しました。また、ランバートが丘の上の馬のところへ行くシーンでは、彼が近眼であるにも関わらず眼鏡を外すのを忘れていたというエピソードも残っています。

サウンドトラック：クイーンの魂が響く

映画音楽はマイケル・ケイメンが担当しましたが、クイーンの楽曲も重要な役割を果たしています。「プリンシス・オブ・ザ・ユニヴァース」は、映画のテーマ曲として、またテレビ版のタイトルコールにも使用されました。ブライアン・メイは、コナーとヘザーの愛のテーマとして「リヴ・フォーエヴァー」を作曲するなど、クイーンは映画の雰囲気に合わせた楽曲を提供しました。

クイーン名義でハイランダーシリーズに特化したアルバムはリリースされていませんが、1986年に発表されたアルバム『カインド・オブ・マジック』には、映画に関連した楽曲が多く収録されています。映画で使用されたクイーン版「ニューヨーク、ニューヨーク」は、長らくアルバムに収録されていませんでしたが、2014年にリリースされたアルバム『Highlander Original Motion Picture Soundtrack and Score featuring QUEEN and Michael Kamen [Digipak] Deluxe Edition』に収録されました。

『ハイランダー 悪魔の戦士』は、不死の戦士たちの戦いを描いた壮大な物語であり、クイーンの音楽が物語をさらに盛り上げます。まだ見たことがない方は、ぜひ一度鑑賞してみてください。

もう一度検索