カインド・オブ・マジック

クイーン『カインド・オブ・マジック』

1986年、クイーンは12枚目のアルバム『カインド・オブ・マジック』を発表しました。このアルバムは、バンドにとって大きな転換期を示す作品であり、その背景には1985年のライヴエイドでの成功がありました。それまでのメンバー間の緊張が緩和され、新たな創造性が生まれた時期の作品と言えるでしょう。

制作の背景

当初、このアルバムは映画『ハイランダー 悪魔の戦士』のサウンドトラックとして企画されました。しかし、過去の映画音楽の経験から、クイーンはサウンドトラックではなく、オリジナルのアルバムとしてリリースすることを決断しました。この決定は、単なる映画の付随音楽ではなく、バンドとしてのアイデンティティを強く打ち出すためのものでした。

ブライアン・メイは、当初映画の主題歌のオファーを断るつもりでしたが、脚本と撮影された映像に感動し、帰宅中に「リヴ・フォーエヴァー」のアイデアを思いついたと語っています。このエピソードからも、アルバム制作に対するメンバーの情熱が伺えます。

サウンドの特徴

『カインド・オブ・マジック』は、クイーンの中期と後期のサウンドを融合させたような、円熟味のある作品です。メンバーそれぞれの作曲スタイルが、バンドの演奏力と編曲力によって見事にまとめられています。レコーディング風景を記録した映像からは、メンバー間の意見の衝突も垣間見えますが、それはより良い音楽を生み出すための建設的なものであったようです。フレディ・マーキュリーとロジャー・テイラーが、制作において主導的な役割を果たしていたことがわかります。

ツアーと影響

このアルバムを引っ提げて行われた『Magic Tour』は、クイーン史上最大規模のツアーとなりました。ヨーロッパ各地のスタジアムや城で開催されたコンサートは、全公演が即完売し、100万人以上の観客を動員しました。しかし、このツアーはフレディが参加したクイーンとしては最後のツアーとなってしまいました。アルバムとツアーの成功は、クイーンの音楽が時代を超えて愛され続けていることを証明しています。

収録曲

アルバムは、以下の楽曲で構成されています。

A面

1. ONE VISION -ひとつだけの世界- - One Vision
2. カインド・オブ・マジック - A Kind of Magic
3. 愛ある日々 - One Year of Love
4. 喜びへの道 - Pain Is So Close to Pleasure
5. 心の絆 - Friends Will Be Friends

B面

1. リヴ・フォーエヴァー - Who Wants To Live Forever
2. ギミ・ザ・プライズ - Gimme the Prize
3. ドント・ルーズ・ユア・ヘッド - Don't Lose Your Head
4. プリンシス・オブ・ザ・ユニヴァース - Princes of the Universe

ボーナストラック (CDのみ)

1. ア・カインド・オブ・ア・カインド・オブ・マジック - A Kind of A Kind of Magic
2. フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ - Friends Will Be Friends Will Be Friends
3. フォーエヴァー - Forever

その他、リイシューや再発盤には、様々なボーナストラックや別バージョンが収録されています。

リイシュー

2001年と2011年には、最新のリマスタリングを施した再発盤がリリースされ、より高音質でアルバムを楽しむことができるようになりました。

演奏メンバー

フレディ・マーキュリー – リードヴォーカル、コーラス、キーボード、サンプラー
ブライアン・メイ – エレクトリックギター、コーラス、シンセサイザー、サンプラー、リードヴォーカル
ロジャー・テイラー – ドラムス、電子ドラム、コーラス、ドラムマシン、タンバリン、シンセサイザー
ジョン・ディーコン – ベース、エレクトリックギター、シンセサイザー、サンプラー、ドラムマシン、コーラス

外部ミュージシャンとして、スパイク・エドニー（キーボード）、ジョーン・アルマトレーディング（ヴォーカル）なども参加しています。

関連事項

* ハイランダー 悪魔の戦士

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