ハインリヒ・イザーク

ハインリヒ・イザーク

ハインリヒ・イザーク（Heinrich Isaac, 1450年頃 - 1517年3月26日）は、盛期ルネサンス音楽のフランドル楽派に属する作曲家です。ジョスカン・デ・プレと同世代であり、その中でも特に重要な作曲家の一人とされています。

生涯

イザークの生い立ちについては詳しいことは分かっていませんが、フランドル地方の出身であると考えられています。1470年代にはすでに作曲活動を行っていたことが確認されており、彼に関する最も古い記録は1484年に遡ります。この年、イザークはインスブルックの宮廷作曲家として仕えていました。翌年には、フィレンツェのロレンツォ・デ・メディチの宮廷音楽家となり、オルガン奏者、宮廷楽長、そしてロレンツォの子どもたちの家庭教師を務めました。

1497年までに、イザークは神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世に仕えるようになり、皇帝に同行してドイツ各地を訪れました。このことが、当時のドイツの作曲界に大きな影響を与えたと考えられています。1514年にフィレンツェに戻り、1517年に同地で亡くなりました。

作品

イザークは、ミサ曲、モテット、ドイツ語歌曲、イタリア語歌曲、器楽曲など、多岐にわたるジャンルの楽曲を作曲しました。彼は当時最も多作な作曲家の一人でしたが、長年にわたりジョスカン・デ・プレの人気に隠れてきた面があります。ちなみに、アントン・ヴェーベルンはイザークに関する論文で学位を取得しています。

彼の最も有名な作品は、おそらくドイツ歌曲《インスブルックよさらば Innsbruck, ich muß dich lassen 》でしょう。ただし、この曲の旋律自体はイザークのオリジナルではなく、民謡の編曲である可能性も指摘されています。この旋律は後に、ルター派のコラール《おお世よ、われ汝より離れざるを得ず O Welt, ich muß dich lassen 》に転用され、ヨハン・ゼバスティアン・バッハやヨハネス・ブラームスのオルガン曲の基礎にもなりました。

イザークは、《コラリス・コンスタンティヌス（コンスタンツ大聖堂の合唱曲）Choralis Constantinus 》を未完成のまま残しました。これは、ミサ固有文の通年分を完全に作曲（多声化）しようとした最初の試みとして知られており、約100曲が含まれています。イザークの弟子であるルートヴィヒ・ゼンフルがこの曲集を完成させましたが、彼の死後、1555年になるまで出版されませんでした。イザークはまた、ミサ通常文による作品も40曲以上残しています。

外部リンク

ハインリヒ・イザークの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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