ハジ・モハンマド・チャムカニ

ハジ・モハンマド・チャムカニの生涯

ハジ・モハンマド・チャムカニ（Haji Mohammad Chamkani, 1947年 - 2012年）は、アフガニスタンの政治家で、革命評議会議長を務めた人物です。パクティヤー州出身で、父は村の長老であり、小地主でした。また、ムッラー（イスラム教の指導者）でもあり、パシュトゥーン人部族のジルガ（部族会議）の議長を務めるなど、部族社会における権威を持つ人物でした。

政界での活動

チャムカニは、ザーヒル・シャー統治時代に国政に進出し、議会人民院（下院）議員、後に上院議員に選出されました。この時期、彼は政治家としてのキャリアを積み重ね、アフガニスタンの政治の中枢で活動しました。

1978年の共産主義クーデター後、チャムカニは革命評議会の一員となりました。1986年1月16日には革命評議会副議長に就任。同年11月20日、バブラク・カールマル議長の退任に伴い、革命評議会議長代行に選出され、一時的に国家の最高指導者の役割を担いました。しかし、1987年9月30日には、ムハンマド・ナジーブッラーが革命評議会議長に選出され、チャムカニは第一副議長となりました。

ターリバーンへの合流と逮捕

1990年代になると、チャムカニはターリバーン側に移り、ムハンマド・オマルの顧問を務めました。この転身は、彼の政治的な立場が大きく変化したことを示しています。2001年末には、国際的な指名手配の対象となり、2002年2月、カンダハール州タフタ・プリ市において、アメリカ海兵隊により逮捕されました。

その後

チャムカニは逮捕後、アメリカ軍の管理下に置かれ、その後の消息は不明な点が多くあります。2012年に死去したことが伝えられていますが、詳細な状況については明らかになっていません。

人物像

チャムカニは、パシュトゥーン人部族の有力者であり、その部族社会における影響力は非常に大きなものでした。また、政治家としても、ザーヒル・シャー時代から共産主義政権、そしてターリバーンまで、激動のアフガニスタン政治に関与し、その動向に大きな影響を与えました。彼の生涯は、アフガニスタンの複雑な政治情勢を象徴するものであり、現代史を理解する上で重要な人物の一人と言えるでしょう。

参考文献

吉村文成『撤兵と政権交替 1986年のアフガニスタン』アジア経済研究所、1987年、589-600頁。doi:10.20561/00039061。ISBN 9784258010875。
伊沢紘樹『近づく撤兵の足音 1987年のアフガニスタン』アジア経済研究所、1988年、631-644頁。doi:10.20561/00039037。ISBN 9784258010882。

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