ハッカ油

ハッカ油とは

ハッカ油は、シソ科ハッカ属の多年草であるハッカの茎や葉を水蒸気蒸留して得られる精油です。粗ハッカ脳を除去して調製されます。油脂ではありませんが、親油性や脂溶性を持つため、その性質が油脂に似ていることからハッカ油と呼ばれています。

特徴

外観: 無色から微黄色の澄明な液体
香り: 特有の爽快な芳香
味: 初めは舌を焼くようだが、後に清涼感がある

主成分はl-メントールで、その他にl-メントン、l-リモネン、ピネンなどが含まれています。食品添加物としては、既存添加物の香辛料抽出物に指定されています。

原料

主にメントール含量が多いニホンハッカが使用されます。ペパーミントを原料とするものは、セイヨウハッカ油またはペパーミント油と呼ばれ、ニホンハッカ由来のものとは成分の割合が異なり、やや甘く爽やかな香りがあります。

用途

ハッカ油は、その特性から様々な用途で利用されています。

香料
矯味矯臭剤
清涼化剤
溶解剤
害虫忌避剤
害獣忌避剤
ハッカ水の製造

薬効

ハッカ油には、以下のような薬効が期待できます。

鎮痒・鎮痛効果: 局所に穏やかな冷感刺激を与えることで知覚神経を麻痺させます。
収れん・消炎効果: 冷感刺激により軽い炎症を起こさせ、反射的な血管拡張を促します。
清涼感の付加: 口腔咽喉薬やうがい薬に芳香による清涼感を加えます。

セイヨウハッカ油は、過敏性腸症候群の改善薬としても利用されています。経皮吸収型鎮痛消炎薬にも、鎮痛を目的として配合されています。

涼感

ハッカ油の主成分であるメントールは、TRPM8という温度感受性チャネルを活性化させることで涼感をもたらします。ただし、これはあくまで錯覚であり、体温を下げる効果はないため、熱中症予防にはなりません。

使用上の注意

ハッカ油を使用する際には、以下の点に注意が必要です。

リモネンによるゴムやスチロール樹脂の侵食
大量吸入による肺炎のリスク
小動物への健康被害（特に猫などの肉食動物）

ハッカ油は、リモネンを含むため、ゴムやスチロール樹脂を侵食する可能性があります。室内で使用する際は、噴霧する場所や保存容器に注意が必要です。また、大量に吸い込むと肺炎を発症する恐れがあります。特に小動物、とりわけ肉食動物はハッカ油に含まれるケトン類を分解する能力が低いため、中毒症状を起こす可能性があります。

入手方法

日本薬局方のハッカ油は薬局で購入できます。濃度の保証がないスプレーなどは、雑貨として一般の店舗でも販売されています。

まとめ

ハッカ油は、爽やかな香りと清涼感が特徴の精油であり、様々な用途で私たちの生活に役立っています。しかし、使用方法を誤ると健康被害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。特に小動物を飼っている場合は、使用場所に注意しましょう。

参考資料

健栄製薬　ハッカ油: https://www.kenei-pharm.com/general/hakka/
北見ハッカ通商 公式サイト

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